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2012年7月18日 水曜日
定年後の継続雇用
みなさん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマは,「定年後の継続雇用 基準は」です。
これは平成24年7月16日付日経新聞朝刊の法務記事のタイトルです。
年金支給開始年齢の引き上げに伴い,定年後に年金がもらえない空白時期が生じるとの懸念から高年齢者雇用安定法が制定されました。
高年齢者安定法は,「定年の引き上げ」「継続雇用制度の導入」「定年制の廃止」のいずれかを企業に選ぶよう義務づけています。定年の引き上げや定年制の廃止では,原則として希望者全員の雇用を継続しなければならず会社の負担が重いため,大半の企業が継続雇用制度を導入しています。継続雇用制度の中の再雇用制度による場合,いったん雇用関係を終了するので雇用条件を引き下げやすいこと,再雇用の選定基準を定め基準に満たない労働者の再雇用を拒否できるという企業側のメリットが大きいのです。
ですが,上記の記事によると,最近,継続雇用されなかった労働者が企業を訴える例が相次いでいるようです。これは,そもそも再雇用の選定基準が妥当か,当該労働者が基準に満たさないという判断が妥当か,基準そのものを決めた手続が妥当か,など選定基準を巡る争いが絶えないからです。しかも,まだ地裁レベルの判決がほとんどで学説を含め統一的な議論がまだ行われておらず,裁判所の判断もまちまちなようです。
実は,私も継続雇用を拒否された労働者の代理人として企業相手に交渉し,再雇用を確保した経験があります。その労働者の方は多少身体が不自由でしたが,再雇用を拒否されるような障害ではありません。企業側の経営不振や他社との合併などの影響で,再雇用者をなるべく減らしたいという意図が見え隠れしていました。
企業側は,再雇用の是非を巡る裁判が頻発している現状を見据え,妥当な選定基準を作成することはもちろん,基準についての労使協定の締結という手続の遵守,実際の再雇用時に公正な選定を行うなど,裁判に至らないよう十分に配慮する必要があります。
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|2012年7月5日 木曜日
失敗の本質
こんにちは,桑田です。
今回のテーマは最近読みました本についてです。
プロフィールの趣味の欄に「読書 年間100冊近く読破しています」と大見得を切ってしまいました(^_^;)
というわけで,今回は趣向を変えてみましたので,お気軽にお読み下さい。
「失敗の本質」は,第2次世界大戦における日本軍の失敗の「本質」をつきとめようとした古典の名著です。昭和59年に発行された研究書ですが,最近,エッセンスを記載した「超入門『失敗の本質』」が売れ行き好調となり,再度,脚光を浴びています。
「失敗の本質」の中で,日本軍敗戦の原因分析がなされています。
たとえば日本軍内に「戦略が・・・多分に情緒や空気が支配する傾向」という情緒的人間関係が気づかれたこと,「情報,諜報の活用という点では,米軍に比べ決定的に劣っていた」という情報の軽視,「失敗した戦法,戦術,戦略を分析し,その改善策を探求し,それを組織の他の部分へも伝播していくということは驚くほど実行されなかった」という学習の軽視などが挙げられています。
そして,「日本軍の組織原理を無批判に導入した現代日本の組織一般が・・・危機が生じたときは,大東亜戦争で日本軍が露呈した組織的欠陥を再び表面化させないという保証はない」とも書かれています。
昨年,東日本大震災,原発事故という「危機」が生じました。
昨日の原発事故調査委員会の報告書では「明らかに人災」と指摘され,その理由として,規制当局と東京電力の立場が逆転し,
地震・津波対策を立てる機会が過去何度もあったのに先送りしてきたと指摘されています。まさに,情緒的な人間関係や学習の軽視と言われても仕方がないのではないでしょうか。
自戒の意味も込めて,とても考えさせられた一冊でした。
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|2012年7月4日 水曜日
自宅相続 共有はリスク
こんにちは,弁護士の桑田です。
本日のテーマは,自宅を含めた不動産の相続方法です。
タイトルは,今日の日経朝刊の記事から抜粋しました。
自宅の相続がリスクとなるのはどうしてでしょうか。
亡くなった方の遺産が自宅の場合の分け方には,①自宅を売って代金を相続人で分ける,②相続人の一人が自宅を相続し,他の相続人に現金を支払う,③相続人全員で共有する,などの方法があります。
ですが,①は,相続人の一部が亡くなった方と自宅で長期間同居していたとか先祖伝来の土地建物であるような場合には売却したくないと思うことがあります。②の場合も,自宅を相続する方に相当の資金がないと他の相続人が納得しないでしょう。
そのため,何となく③のように自宅を共有してしまうこともあります。ですが,その後に相続人も亡くなってしまうと,今度は共有状態がどんどん細分化され,根本的な解決がよりいっそう困難になってしまうのです。
このような事態を避けるためにも,まだ被相続人が存命のうちに遺言を作成しておくことが大切です。
「誰に自宅を残すのか決める」,「他の相続人に不満が残らないように預貯金で手当をする」『遺言の付言で,なぜ自宅を○○に残すことにしたのか自分の気持ちを説明する」など,トラブル回避のための方法を取ることができるのです。
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