新着情報
2026年9月10日 木曜日
管理規約改正の好機です!
皆様、こんにちは、弁護士の桑田です。
今回のテーマは、区分所有法の改正によって大きく影響を受ける、管理規約の改正についてです。
区分所有法の改正によって、これまで管理規約を改正することが困難な管理組合でも、規約改正の可能性が大きく広がりました。
従前の区分所有法では規約の変更は「区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数」の賛成が必要でした。
ですので、総会に出席したかどうかにかかわらず、全組合員の4分の3の賛成を得ないといけませんでした。
ですが、改正により「区分所有者の過半数の者であって議決権の過半数を有する者が出席、出席した区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数」の賛成で足りることになります。
つまり、過半数の組合員が出席して入れば、出席した組合員の4分の3以上が賛成すれば規約を変更できるようになったのです。
これまで規約の改正が困難な管理組合の典型例が、一定数の住民が総会に興味がなく、4分の3の賛成が集まらない場合です。
ですが、今後は、委任状や議決権行使書も含めて過半数の出席を得られれば、その4分の3で規約を改正できます。
これまで規約の改正は困難とあきらめていた理事会の皆様も、ぜひこの機会に規約改正に挑戦してみてください。
とはいえ、規約を改正する総会を開くには、事前準備や出席票の集め方など、一般の方には難しい面もあります。
そもそも規約の内容をどう改正するのが最適かも判断は困難な面があると思います。
そのような場合は、ぜひ弁護士桑田までお問い合わせください。懇切丁寧にご説明いたします。
2026年9月8日 火曜日
管理組合で立ち向かう騒音問題
皆様、こんにちは、弁護士の桑田です。
今回のテーマは、マンション内の騒音を管理組合として解決する方法です。
騒音は、漏水と並んで、突出して件数が多い相談ですが、簡単には解決できない問題です。
一般的には上下階など住民間でトラブルになることが多いですが、小規模のマンションで、マンション全体で騒音の被害に遭っている例があります。
今回は、個々の住民ではなく、マンション全体の被害について、管理組合として対策に取り組み場合の具体的な方法について解説します。
まずは、廊下などの貼り紙での注意喚起、騒音に注意してほしいと記載したチラシをポスト投函するなど、自発的に騒音を停止してもらう方法が考えられます。
理事長などが直接、騒音を出している住戸を訪問して騒音を停止するよう説得する場合もあります。
これで騒音が収まれば一安心というところでしょう。
ですが、弁護士に相談に来るようなケースでは、通常の手段は尽くしても、どうしても騒音が収まらないという場合です。
では、そのような場合には、どのような方法を取ることが考えられるでしょうか。
このような場合、例えば、弁護士名義で内容証明郵便を利用して強く騒音の抑止を要請する方法が考えられます。
管理組合名義の通知より、弁護士名義での要請の方が騒音を抑止する効果は高い場合があります。
ですが、それでも騒音を止めない場合には、騒音を発生させる行為が共同利益背反行に該当するとして、区分所有法57条以下の規定を利用して、騒音発生行為の差止、当該住戸の使用禁止、当該住戸の区分所有権の競売を請求することが考えられます。
前提として、共同利益背反行為と言えるには、マンション全体として騒音被害を受けていることが必要です。単に上下階とか左右階のみですと、共同利益背反行為には該当しないことになりますので、ご注意ください。
次に、マンション全体の問題であるとしても、提訴するには、一定の準備が必要です。やはり、騒音の音量を確認する(何デシベル出ているのか)ため、測音調査が必要になります。
また、その他にも、マンションの住民の多くが被害を受けていることを立証するため、例えば、住民の陳述書や過去の理事会での騒音の記録など、様々な証拠を集める必要があります。
それらの証拠を用意したうえで、騒音の発生の差止や騒音を発生させる住民の住戸の使用禁止を求めたり、当該住戸の区分所有権を競売に欠けることを目的とした提訴を行います。
このように説明をしましたが、一言で測音調査と言っても、単にスマートフォンで音を測ればよいというわけではなく、適切な測音機器を利用することができます。
ですが、測音機器をレンタルするのも慣れていないと簡単ではないですし、レンタルしても、適切な方法で測音することが必要です。
それらの作業は一般の方には困難でしょうし、騒音の差止を求めればよいのか、それとも使用禁止や競売までできるのか、といった要件の見極めも必要になります。
ですので、騒音問題でお困りの際には、ぜひ弁護士桑田までご相談ください。
管理組合で行うべき騒音対策について、丁寧にご説明いたします。
2026年8月3日 月曜日
令和7年区分所有法改正の影響(概要)
皆様こんにちは、弁護士の桑田です。
これまで「区分所有法改正の行方」として、6回に渡り改正論議を見てきました。
ついに令和7年に区分所有法が改正され、令和8年4月に施行されました。
そこで、今回のテーマは、区分所有法改正について、まず、大まかに見ていくということにしました。
今回の改正の目的は、マンションの老朽化と住民の高齢化に対応して、マンションの管理の円滑化を図ること、そして建物の再生の円滑化を図ることです。
このうち「建物の再生の円滑化」は、マンションの建替や一括売却など重要なテーマですが、一般の居住者には、少し遠い話になるでしょうから、割愛します。
一方、管理の円滑化は、マンション運営でお悩みの理事の方などには、直結するテーマです。
今回の改正で注目するポイントは、おおよそ以下のようなものになります。
①例えば所有者が不明な住戸がゴミ屋敷になっているような場合の「所有者不明専有部分管理制度」
②例えば所有者は判明しているが住戸がゴミ屋敷になっているような場合の「管理不全専有部分管理制度」
③所有者が所在不明の場合に総会決議の母数から除外するための「所在等不明区分所有者等の除外に関する裁判」
④外国に居住する日本人や外国人が所有者の場合の「国内管理人制度」
⑤特別決議についての多数決要件の緩和など
以上は概要ですが、今後、個々の制度や標準管理規約の改正についても説明していく予定です。
区分所有法改正によって、多くの管理組合では管理規約の改正が必須となっています。
とはいえ、管理規約の改正を理事会や管理会社で検討することには限界があると思います。
区分所有法改正に伴う管理規約の改正でお困りの理事会の方は、弁護士桑田までご連絡ください。
懇切丁寧に対応させていただきます。
2024年2月22日 木曜日
立替金を請求するための理由は?
皆さん、こんにちは、弁護士の桑田です。
今回のテーマは立替金の請求です。
皆さんも、自分が払う必要があるわけではありませんが、友達や家族のために一時的に立て替えて支払ったという経験があると思います。
そのような立替金を、友達や家族が払ってくれない場合「返してくれ」となると思います。
では、その場合、法律上の根拠はどのように考えることになるでしょうか。立替金は請求できて当然のことのように思われるかもしれませんが、法律では理屈が必要となります。
考えられるのが、まず「合意」です。つまり、友達から「あとで返すから、食事代立て替えて」と言われて支払ったような場合です。
このような場合は、あらかじめ友達との間で合意が成立しているので、合意に基づく請求が可能となります。
では、例えば、商売をしていて、取引先の代わりに交通費やコピー代、郵送費などを立て替えて支払うということもよくあります。
このような場合も黙示の合意(暗黙の了解)がある場合もあるでしょうが、なんの取り決めもないということもあるでしょう。
こういった場合に立替金を請求する場合の法律上の根拠として考えられるのが「不当利得」です。
不当利得は、一方が法律上の原因なくして利益を得た場合で、他方が損失を被ったときに、損失と因果関係のある利益について、返還請求できるとした民法上の権利です。
また、隣の家の住人が不在の間に台風が来たようなときに、緊急で屋根を修理し、その材料を立て替えて購入したとします。
そのような立替金については「事務管理」という民法の規定を利用して、立替金の支払いを求めることができます。
このように、立替金なら当然に返還請求できるわけではなく、その事案に応じて、合意、不当利得、事務管理といった法律上の根拠があることが前提となります。
もっとも、法律の専門家でないと、どのような場合に、どのような要件で立替金を請求できるかは判断が難しいと思います。
そのようなときには、お気軽に弁護士桑田にご相談ください。懇切丁寧にご対応いたします。
2024年1月31日 水曜日
区分所有法改正の行方6(要綱案について2・建て替えなど)
皆さん、こんにちは、弁護士の桑田です。
今回は、前回に引き続き、要綱案をもとに、区分所有法改正の方向性について説明します。
今回説明するのは、区分所有建物の再生の円滑化を図る方策、と題された部分です。
今回の改正で、一番注目されているのはこの部分です。というのも、建物再生の円滑化は、建物と所有者の二つの高齢化と呼ばれるマンションの問題への対応策だからです。
もっとも、私は、これまであまり触れてきませんでした。それは、現実のマンションでは、建て替えや取り壊しといった大きな問題よりも、目の前のクレーマー対策などの方が優先度が高いと考えたからです。
とはいえ、築年数が40年を超えるマンションもこれからどんどん増えていきます。なので、建て替えなども避けて通れなくなることは明らかです。
そこで、今回、改正法の中で、建て替えなどに関係する部分を説明することにしました。
マンションの建て替えについて、現行法は、区分所有者及びその議決権の5分の4以上の賛成が必要としています。
しかし、要件が厳格であるためになかなか成立しないことに問題点がありました。
そこで、一定の場合には、区分所有者及びその議決権の4分の3以上の賛成、と要件を緩和することにしました。
一定の場合というのは、地震や火災に対する安全性に問題がある場合、外壁等が剥離し落下等のおそれがある場合、配管設備の劣化が著しい場合、高齢者等への対応に問題がある場合なです。
その他に、建物と敷地を一括して売却する場合、建物を取り壊して敷地を売却する場合、建物を取り壊す場合、建物が全部滅失した敷地に建物を再度建築する場合、敷地を売却する場合などについて、手続が検討されています。
区分所有法の改正は大変幅が広く、全部を理解することは困難と思われます。
私は、改正区分所有法の講義の開催も検討していますので、興味のある管理組合、理事会、管理会社の方はお気軽にご連絡ください。
2024年1月31日 水曜日
区分所有法改正の行方5(要綱案について1)
皆さん、こんにちは、弁護士の桑田です。
これまで、区分所有法の改正について、4回にわたり、法務省の中間試案をもとに解説しました。
法律の改正は、中間試案から議論が進められ要綱が示され、最終的には改正した法律が成立するという流れになります。
近時、この要綱の案が出されましたが、概ね、中間試案に沿った提案がされ、内容を深められていったようです。
今回は、要綱案が出たことを踏まえ、これまでに触れられていなかった改正について、重要な個所を説明したいと思います。
まず、総会の決議についての改正が考えられています。
要綱案には、現行法の多数決割合を維持しながら、出席した区分所有者及びその議決権の多数で決する、とあります。
規約改正を例に挙げると、4分の3の賛成が必要という割合は変わりませんが、その対象は組合員総数ではなく、出席した組合員数とするという扱いと思われます。
これまでは、マンションの維持管理に無関心で、出席もしないし、賛否の意思表示もしない組合員は、事実上、反対と同じ扱いでした。
そのため、本来必要な規約の改正なのに、特別決議に必要な4分の3の賛成を得られずに成立しなかった例は数多く見受けられます。
改正法によって、こうした事態を回避できる可能性が出てきました。
また、共用部分の変更については、さらに、一定の場合には「出席した区分所有者及びその議決権の各3分の2以上」と、要件がさらに緩和されています。
どのような場合かというと、共用部分の設置や保存に瑕疵があることで他人の権利等が侵害される場合の瑕疵の除去、高齢者等の負担軽減のための変更です。
これらの場合については、規約で、頭数だけでなく議決権数も過半数まで減じることができる、とされています。
共用部分の欠陥の除去や高齢者の身体の負担を軽くするような変更は、できるだけ要件を緩和しようという考え方です。
長くなりましたので、次回に譲りますが、その他に、建て替え決議の要件の変更など、建物と所有者の二つの高齢化と呼ばれる問題に対応した改正が予定されています。
2024年2月頃には要綱が出される予定ですので、それを待って、より詳しい説明をいたします。
とはいえ、区分所有法改正は多岐にわたり、専門用語も多いことから、理解が大変だと思います。
私は、改正区分所有法の講義も行う予定をしていますので、興味のある管理組合、理事会、管理会社の方はお気軽にご連絡ください。
2023年10月3日 火曜日
リゾートマンションの法律トラブル
皆様、こんにちは、弁護士の桑田です。
今回のテーマは、リゾートマンションの法律トラブルについてです。
私はリゾートマンションの法律顧問もしております。そのマンションは理事会が熱心に活動していますが、リゾートマンションの中には管理が行き届いていないものも少なくありません。
私が相談を受けた地方のリゾートマンションも、多くの問題を抱えていました。
皆様は、リゾートマンションをご存じでしょうか。リゾートマンションは、主に観光地や景勝地などに建てられ、別荘の代わりとして使われることが想定されたマンションです。
ですので、区分所有者の方も、年に数回程度しか訪れないことが多いでしょう。そのため、区分所有者の方の、マンションの維持管理に対する関心が低くなりがち、という傾向はあります。
そうなると、高経年のリゾートマンションになってくると、管理費が長期間滞納される、管理費が理事長等によって横領される、住戸内の維持管理ができていない、共用部分の維持管理もなおざり、といったトラブルが多発することになります。
リゾートマンションの多くは、いわゆるバブル時代に建てられた豪華なものが多いので、現在、建築から30年前後となり、問題が発生しやすい状況になっています。
また、最近では、新築当初に購入された方が定年を迎え、リゾートマンションで生活する傾向も出てきています。そうなると、居住者と、別荘として利用する方との意識の相違からトラブルとなる例もあるようです。
では、このようなトラブルに対してはどのような対策が取れるでしょうか。
まずは、住民の方の意識が高まらないと話が進みません。何十年も総会も開催されず、理事長もいない、では解決が困難になります。
このような場合には、区分所有者の有志で管理組合創設のための総会の開催を計画することから始めるしかありません。
一方、一応、管理組合や理事会が機能しているのであれば、個別の問題については、調査し、一つずつ対処していくことになるでしょう。
例えば、管理費の滞納であれば、理事会から督促し、それでも支払わなければ、時効にかからないよう提訴して回収を図る必要があります。
また、 横領事案であれば、預金口座の流れなどを精査して証拠を集めることからのスタートとなるでしょう。
住戸や共用部分の管理不全については、区分所有法の改正について書かれた記事で詳しく説明していますが、改正後は、管理不全専有部分管理制度や管理不全共用部分管理制度を利用することが有効な場合があります。
ですが、どのような問題であっても、法律家ではない一般の管理組合、理事会の方では、どこから手を付ければよいか、判断しがたいところもあるでしょう。
特にリゾートマンションのような特殊なマンションでは容易に解決しないことが予想されます。
そのようなときは、弁護士桑田までご連絡ください。
リゾートマンションでの経験も踏まえて、アドバイスを差し上げたいと思います。
2023年9月29日 金曜日
区分所有法改正の行方4(外国人所有者への対応)
皆様、こんにちは、弁護士の桑田です。
今回のテーマも、前回に引き続き、区分所有法の改正についてです。
今回は、外国人の所有者や日本人でも国外で生活しているなど、国内に住所を有していない所有者への対応についてです。
マンションの住戸を、自分が住むためではなく、賃貸に出すために所有している方は、以前からたくさんいました。
そして、近年では、外国人投資家が投資用に住戸を購入する例や、日本人の所有者であっても海外で勤務している例が増えており、連絡を取ることが困難なケースも少なくありません。
そのような場合、例えば、配管工事のための立入りの同意を得られない、管理費等を滞納しているが督促できない、総会の招集通知を送付できない、総会に出席したり議決権行使書を出すなどの対応がされないために定足数や特別決議の要件の充足に支障をきたす、といった、数々のトラブルが発生しかねません。
実際、私のもとにも、外国人区分所有者関係の相談がかなり多く寄せられています。
そこで、改正法では、区分所有者が国外にいる場合に国内管理人を選任することができるとする制度を新設することが提案されています。
そして、国内管理人を選任した場合には、管理組合への報告をしなければならないことになります。
国内管理人は、立入りの同意をする、管理費等の支払事務を行う、招集通知を受領する、議決権を行使するなどの権限が認められ、トラブル予防のために有益と思われます。
もっとも、国内管理人の選任は、区分所有者が任意に行うこととされていますので、区分所有者にその意思がなければ選任されません。
別案として、国内管理人の義務付けを行う案も出されていますが、その義務に違反した場合にどのような効果があるのかなどの課題が多いという指摘がされています。
いずれにしても、今後、制度の詳細を詰めていくことと思われますので、経緯を見守る必要があります。
外国人所有者や海外在住の日本人の区分所有者に対するトラブルがありましたら、弁護士桑田までお問い合わせください。
懇切丁寧にご対応させていただきます。
2023年9月21日 木曜日
区分所有法改正の行方その3(ゴミ屋敷、ゴミ放置)
皆様、こんにちは、弁護士の桑田です。
今回も前回に引き続き、2024年に予定されている区分所有法の改正についてです。
前回は区分所有者が行方不明になったことによるデメリットへの対策を説明しました。今回は「区分所有者は住戸で生活しているが、その居住者の管理が悪く、ゴミ屋敷化していたり、住戸の前の廊下にゴミを放置したような場合」への対応です。
まずは、住戸内の管理に問題がある場合への対策として、管理不全専有部分管理制度の新設が予定されています。他の居住者や管理組合法人などが、裁判所に管理不全専有部分管理命令の発令を申し立て、認められれば管理不全専有部分管理命令が発令されます。
発令の要件は「区分所有者による専有部分の管理が不適当であることによって他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害される恐れがある場合において、必要があるとき」です。どの程度に至れば要件に該当するのかは、事例を積み重ねる必要があります。
申立てが認められれば、管理不全専有部分管理人が選任され、ゴミの撤去などができるようになります。
次に、住戸前の廊下などに私物が放置されるなど共用部分の管理が不全な場合ですが、この場合に用意された制度が、管理不全共用部分管理制度です。管理不全専有部分管理制度同様、利害関係人が申し立て、認められれば管理不全共用部分管理人が選任され、住戸前の廊下に放置されているゴミを撤去できるようになります。
利害関係人は、主にマンション外の近隣住民が想定されていますが、他の組合員による利用もありうるとされているようです。
なお、典型例が「ゴミ関連」ですので、例示していますが、もちろん、ゴミに限らず、居住者による住戸や廊下などの共用部分の管理が悪い場合は広く対象となります。
これまでも、廊下にゴミを放置した居住者に対しては使用細則違反などで提訴して撤去を求めてきましたが、勝訴しても居住者が判決に従わないとさらに解決に時間を要するという問題がありました。ですが、管理不全共用部分管理人が選任されれば、放置したゴミを処分するなどの対応が可能になり、迅速な解決ができるようになるという利点があります。
このように区分所有法の改正によってさまざまな制度が用意されることが予想されます。
とはいえ、一般の理事長や理事の皆様には、専門的な法律の理解や手続を実行することは困難と思われます。
そのようなときは、弁護士桑田にお気軽にお声がけください。
丁寧に対応いたします。
2023年9月6日 水曜日
区分所有法改正の行方その2(所在不明組合員の扱い)
皆さん、こんにちは、弁護士の桑田です。
今回のテーマは、区分所有法改正の行方の第2回として、組合員の所在が不明となった場合の扱いについて説明します。
以前、私もこのブログの中で「所在不明の区分所有者への管理組合の対応」という記事を掲載しましたが、当時から、所在不明者問題が世の中に浸透し、議論が進みました。
改正において想定しているのは、所在不明の組合員と総会との関係及び所在不明組合員の専有部分等の管理です。
まず、総会との関係ですが、特に特別決議など議案の成立要件が厳格な場合、所在不明の組合員がいることによって賛成議決権数が足りず、成立が見込めなかったり、そもそもの定足数にさえ至らない場合があります。総会の招集通知や議案書を送ること自体ができないということも予想されます。
そこで、組合員が行方不明である場合に、裁判所に対して「所在等不明区分所有者の除外決定」を申し立て、認められた場合には、行方不明の組合員及びその議決権を総会の決議から除外することができるという制度が提案されています。この申立てが認められた場合には、行方不明の組合員宛の招集通知の発送は不要となります。
法務省の中間試案の補足説明によると、具体的な申立ての方法などについては検討中のようです。
次に、組合員の専有部分等の管理との関係ですが、組合員が行方不明になると専有部分を適切に維持管理することが期待できなくなります。そして、その管理不全は共用部分にも悪影響を及ぼす恐れがあります。
このような場合、先ほど挙げたブログのように、従前から、不在者財産管理人制度はありました。
ですが、不在者財産管理人は、「不在者」という人を基準にしているため、その管理も不在者の財産全般に及びます。そのため、管理人の費用も高額になりますし、選任の手続にも時間を要していました。
一方、令和5年4月1日に施行された改正民法では「所有者不明建物管理命令」という制度が新設されました。この制度は、建物が対象ですので、管理人の費用がより減額されたり、選任までの時間も短縮されるのではないかと想定されます。もっとも、区分所有法は、民法の「所有者不明建物管理命令」の適用を除外しているため、マンションではこの制度は使えませんでした。
そこで、マンションについても新たに「所有者不明専有部分管理命令」という制度が設けられました。この制度も費用が減額されたり選任が早期にされることも期待できるのではないかと考えています。
その内容は、おおよそ民法上の制度と同じであり、裁判所に申し立て、命令が出されたら、所有者不明専有部分管理人が選任され、専有部分等の管理がなされることになります。また、その効力は、共用部分や付属施設などにも及び、例えば、管理組合の総会において、所有者の代わりに議決権を行使することも原則として可能です。
なお、所有者が住んでいても住戸の中がゴミ屋敷状態になっていたり、排水管の清掃が拒否されて住戸内の配管が腐食しているということがあります。また、住戸の前の廊下に悪臭を放つゴミを放置しているケースもあります。それらについては、管理不全専有部分管理制度と管理不全共用部分管理制度という二つの制度が新設される予定です。こちらについては、別の記事で紹介します。
このように区分所有法の改正においては、所在不明の組合員への対策が設けられました。
実際にどのような改正となるかは未確定ですが、このような対策が設けられた場合には、多くの管理組合で制度を利用することが考えられます。
もっとも、一般の理事の方や管理会社の方では申し立てなどの方法がわかりにくいと思います。
申立てを希望される場合には、当職にお気軽にご相談ください。懇切丁寧に対応させていただきます。



