トピック
2024年2月22日 木曜日
議論が迷走する理由
皆さん、こんにちは、弁護士の桑田です。
今回のテーマは、法律ではありません。議論の作法、ルールについてお話をしたいと思います。
テレビや居酒屋などで他人の議論を聞いていると、あらぬ方向に議論が迷走し、最後には収拾がつかなくなる場面をよく目にします。
実は、議論には作法やルール、逆に言えば、やってはいけないことがあります。
今回はそのことについてお話しします。
議論が迷走する理由のその1は「検討する場面が共通でない」という場合です。
例えば「絶対に人を殺してはいけないのか」という議論をするときに、一方は「犯罪者に死刑を宣告してよいのか」を念頭に話しているのに、他方は「戦場で襲われそうになった時でも反撃して殺してはいけないのか」を前提にしている場合があります。もちろん、この例は極論で、実際に、ここまでずれていることはないでしょうが。
同じような例として「定義が共通でない」ということもあります。例えば「お客様は絶対に大切か」という問いについて一方は「飲食店でひどいクレームをつける者」も「お客様」として扱い、他方そもそも「ひどいクレームをつける者」は「お客様」には当たらないと考えている場合です(これも極論です、念のため)。
前者であれば「お客様であってもクレーマーは大切ではない」となりますし、後者なら「大切にする人だけお客様になる」ということになります。
このように、検討する場面が共通でなかったり、定義がずれていると、議論は簡単に迷走します。まず「何について議論するのか」の共通認識を持つことが大切です。
次に、議論が迷走する理由のその2は「途中で論点がすり替わる」です。
マンションで管理費を値上げするかどうか、議論する場面を例に挙げます。
値上げを求める側は、例えば、マンションの築年数が長くて設備が老朽化していることや、工事費用が値上がりしていることを理由にします。
一方、値上げしたくない側が「なんで、こんなにひどくなるまで放っておいたのだ。過去の理事会は何をやっていたのか」と言い出したとします。
もしかしたら、過去に、修繕すべき時期に修繕できていなかった例があるのかもしれません。
ですが、過去に遡れない以上、議論すべきは「本当に設備が老朽化しているのか」「工事費用の値上がりを抑えられないのか」「どうしても管理費の値上げが必要か」です。
過去の理事会の不手際は、今、議論する必要性はありません。
ところが、このように途中で論点がどんどん変わって、最後には全然関係ないところで件拡張になっていることがありますが、全くの無意味です。
議論は、論点を明確にし、その論点に対して、双方から意見を言い合うことが大切なのです。
また、議論が迷走する理由その3として「ほかの人もやっている、という反論」があります。
これも良くあります。マンションの廊下にゴミのような私物があふれかえっているので、自分の住戸内にしまうように要請する場合です。
「ほかの人も、傘や三輪車を出しているのに、なんで自分だけ、注意されるのだ」と反論してくるのです。
これは住戸の目的外利用、例えば居住目的しか認められていないマンションで、音楽教室として利用しているような場合にも見られます。
音楽教室としての利用は規約違反だからやめるように申し渡すのに対して「ほかにも事務所や書道教室として使っている」といった反論です。
ですが、ほかの人が規約に違反しているとしてもそれは「ほかの人にも注意するが、だからといってあなたの規約違反が許されるわけではない」という結論になります。
他の人がやっているという言い訳は、とても認められにくいものです。
議論が迷走する理由その4は「逆にあなたはどう思うの」という返答です。
いわゆる、逆質問というものです。議論を投げかけたのに、質問に答えず、質問した側に「あなたはどう思うの」と聞くのでは議論が深まりません。
質問した側も一回は自分の意見を述べるでしょうが、それに反対するのであれば、反対する理由を説明することは最低限のルールです。
最後に、議論が迷走する理由その5ですが「答えをはぐらかす」です。
これは政治家の議論にありがちですが、一方が「どのような対策が必要と考えているのか」と聞いているのに「非常に遺憾であり、あってはならない」などと回答する場合です。
遺憾なのは分かっているので、具体的な対策を聞かせてほしいところです。
このように、議論が迷走する理由はたくさんあります。
お互いが論点をかみ合わせて、具体的に根拠を述べるということが必須だと私は思います。
投稿者 記事URL
|2024年1月31日 水曜日
区分所有法改正の行方6(要綱案について2・建て替えなど)
皆さん、こんにちは、弁護士の桑田です。
今回は、前回に引き続き、要綱案をもとに、区分所有法改正の方向性について説明します。
今回説明するのは、区分所有建物の再生の円滑化を図る方策、と題された部分です。
今回の改正で、一番注目されているのはこの部分です。というのも、建物再生の円滑化は、建物と所有者の二つの高齢化と呼ばれるマンションの問題への対応策だからです。
もっとも、私は、これまであまり触れてきませんでした。それは、現実のマンションでは、建て替えや取り壊しといった大きな問題よりも、目の前のクレーマー対策などの方が優先度が高いと考えたからです。
とはいえ、築年数が40年を超えるマンションもこれからどんどん増えていきます。なので、建て替えなども避けて通れなくなることは明らかです。
そこで、今回、改正法の中で、建て替えなどに関係する部分を説明することにしました。
マンションの建て替えについて、現行法は、区分所有者及びその議決権の5分の4以上の賛成が必要としています。
しかし、要件が厳格であるためになかなか成立しないことに問題点がありました。
そこで、一定の場合には、区分所有者及びその議決権の4分の3以上の賛成、と要件を緩和することにしました。
一定の場合というのは、地震や火災に対する安全性に問題がある場合、外壁等が剥離し落下等のおそれがある場合、配管設備の劣化が著しい場合、高齢者等への対応に問題がある場合なです。
その他に、建物と敷地を一括して売却する場合、建物を取り壊して敷地を売却する場合、建物を取り壊す場合、建物が全部滅失した敷地に建物を再度建築する場合、敷地を売却する場合などについて、手続が検討されています。
区分所有法の改正は大変幅が広く、全部を理解することは困難と思われます。
私は、改正区分所有法の講義の開催も検討していますので、興味のある管理組合、理事会、管理会社の方はお気軽にご連絡ください。
投稿者 記事URL
|2024年1月31日 水曜日
区分所有法改正の行方5(要綱案について1)
皆さん、こんにちは、弁護士の桑田です。
これまで、区分所有法の改正について、4回にわたり、法務省の中間試案をもとに解説しました。
法律の改正は、中間試案から議論が進められ要綱が示され、最終的には改正した法律が成立するという流れになります。
近時、この要綱の案が出されましたが、概ね、中間試案に沿った提案がされ、内容を深められていったようです。
今回は、要綱案が出たことを踏まえ、これまでに触れられていなかった改正について、重要な個所を説明したいと思います。
まず、総会の決議についての改正が考えられています。
要綱案には、現行法の多数決割合を維持しながら、出席した区分所有者及びその議決権の多数で決する、とあります。
規約改正を例に挙げると、4分の3の賛成が必要という割合は変わりませんが、その対象は組合員総数ではなく、出席した組合員数とするという扱いと思われます。
これまでは、マンションの維持管理に無関心で、出席もしないし、賛否の意思表示もしない組合員は、事実上、反対と同じ扱いでした。
そのため、本来必要な規約の改正なのに、特別決議に必要な4分の3の賛成を得られずに成立しなかった例は数多く見受けられます。
改正法によって、こうした事態を回避できる可能性が出てきました。
また、共用部分の変更については、さらに、一定の場合には「出席した区分所有者及びその議決権の各3分の2以上」と、要件がさらに緩和されています。
どのような場合かというと、共用部分の設置や保存に瑕疵があることで他人の権利等が侵害される場合の瑕疵の除去、高齢者等の負担軽減のための変更です。
これらの場合については、規約で、頭数だけでなく議決権数も過半数まで減じることができる、とされています。
共用部分の欠陥の除去や高齢者の身体の負担を軽くするような変更は、できるだけ要件を緩和しようという考え方です。
長くなりましたので、次回に譲りますが、その他に、建て替え決議の要件の変更など、建物と所有者の二つの高齢化と呼ばれる問題に対応した改正が予定されています。
2024年2月頃には要綱が出される予定ですので、それを待って、より詳しい説明をいたします。
とはいえ、区分所有法改正は多岐にわたり、専門用語も多いことから、理解が大変だと思います。
私は、改正区分所有法の講義も行う予定をしていますので、興味のある管理組合、理事会、管理会社の方はお気軽にご連絡ください。
投稿者 記事URL
|2023年8月29日 火曜日
クレーマー住民への対処法(立入拒否篇2)
皆さん、こんにちは、弁護士の桑田です。
今回のテーマは、クレーマー住民から、住戸への立入りを拒否された場合の対応についての続編です。
少し前ですが、消防点検のための立入りを拒否されたケースを例に、理事長などによる住戸への立入りの必要性を説明しました。
ですが、立入りが必要な場合は消防点検に限りません。例えば、排水管の清掃を拒否した場合や、住戸内にゴミがあふれかえりマンション全体の衛生状態に悪影響がある場合にも、理事長や管理会社が住戸内に立ち入って、中を確認することが必要でしょう。
そのような場合に備えて、標準管理規約23条に、住戸への立入りについての規定があります。皆さんの管理規約にも同様の規定があると思います。
とはいえ、住戸に無理やり入ろうとすることは、住居侵入にもなりかねず、よほど緊急の場合以外には、理事長であってもできません。
そこで、このようなケースでは、消防点検、排水管清掃などのための住戸の使用を承諾するよう請求する裁判を起こすことになります。
日本の裁判では弁護士費用は当事者の自己負担ですが、マンションの管理組合では弁護士費用を、規約や細則に違反した組合員に負担させるように規定している例が多いです。
ですので、合わせて弁護士費用もクレーマー住民に請求し、他の組合員の負担にならないようにすることも大切です。
私が過去に担当した消防点検のための立入りを求めた裁判でも、弁護士費用は全額裁判所から認められ、組合員から回収しました。
このように立入り拒否の対策はありますが、区分所有法の専門的な知識が必要ですので、一般の理事長や管理会社の方では対応が難しいところがあります。
そのような場合には、弁護士桑田にお気軽にご相談ください。
丁寧に対応させていただきます。
投稿者 記事URL
|2023年7月31日 月曜日
囲碁が楽しい!!
皆さん、こんにちは、弁護士の桑田です。
いつもいつもブログでは、マンションや交通事故や離婚・・・トラブル対応ばかり説明しています。
私に対して、仕事しかしてないのでは?趣味なさそう、という印象をお持ちの方もいないではないか、と思いました。
ということで、今回は、私の趣味である囲碁について書きたいと思います。
WBCもサッカーワールドカップも大好きですが、井山裕太先生や一力遼先生の海外棋戦にも胸躍らしています。
趣味って、結局、囲碁か。趣味が古風でお堅い、と思われるかもしれません。
これは、全然、違います。
囲碁は古風でも、地味でも、お堅くもありません(イメージはそうかもしれませんが)。
パッと見、わかりづらいことは否定しません。
ですが、とても単純な陣地取りのボードゲームです。黒側と白側に分かれて、交互に石をおいて、陣地を広げていきます。
対局が終わったときに陣地の広い方が勝ち。
ただし、相手の石をうまく囲むと取り上げることができるので、ただ、陣地を広げようとしてもうまくいきません。
しかもAIの影響で、戦略は千変万化、全然、古風ではありません。
私は囲碁を始めて数年、まだ有段者にもなれないレベルですが、対局はいつでもウキウキしています。
囲碁の良いところは、年齢を問わないところです。アマチュアの場合、年配の方が強いということやよくあります。
ということで、先入観はいったんわきにおいて、ぜひ、囲碁を打ってみてください。
一回わかれば、とても楽しいこと、請け合いです!!
投稿者 記事URL
|2022年6月27日 月曜日
朝日新聞でリフォーム工事の騒音対策が掲載!
皆様、こんにちは、弁護士の桑田です。
本日(令和4年6月27日)の朝日新聞の朝刊に私が取材を受けましたリフォーム工事中に発生する騒音への対策記事が掲載されました。
記者の方も熱心に取材していただき充実した内容の記事となりましたので、興味をお持ちの方はぜひご一読ください。
リフォーム工事にも大小ありますが、フルリフォームをするとなると、作業中の工事音が相当な量になり、周囲の住民の方はお悩みになるようです。
そういった場合に備えて、標準管理規約などには、管理組合(理事会)が専有部分の工事に関与できる規定が設けられています。
もっとも、理事会としてもどの程度の工事にどのような騒音が発生するかは事前にはなかなか判断できないかもしれません。
建築士など専門家に依頼して調査することも考えられますが、そこまで積極的に検討してくれる理事会ばかりではないでしょう。
結局は、工事を行う側がまず工法を丁寧に説明したり工事の日時を調整するなどの工夫が必要です。
また、他の住人の方もいずれは自分たちもリフォームするかもしれないのですから、ある程度は受忍限度内として認めてあげる必要もあるかもしれません。
それでも対策に悩まれましたら、弁護士桑田までご連絡ください。
投稿者 記事URL
|2021年11月11日 木曜日
クレーマー住民への具体的対処法(立入拒否篇1)
皆様,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマは,クレーマー住民が住戸への立入りを拒否してきた場合の対応です。
クレーマー住民は「住戸内は自分の所有物であって,中には立ち入らせない」といった言い訳をして立入りを拒否することがあります。
そこで,今回は,消防点検を例に,立入り拒否の対応への前段階として,消防点検による立入りの根拠について,説明したいと思います。
まず,消防法8条は,一定の防火対象物の管理者に対して,防火管理者を選任して,消防設備の点検をさせるように求めています。
そして,消防法17条の3の3において,一定の防火対象物の消防用設備等の点検を行うことが規定されています。
消防法施行令別表第一の(5)に「共同住宅」つまりマンションとあるところ,施行令第36条第2項により,別表第一の(5)に記載のある防火対象物すなわちマンションに消防法第17条の3の3が適用されることが規定されています。
ですので,多くのマンションでは防火管理者が消防用設備の点検を実施しなければなりません。
実際には,専門の業者にお願いすることが一般的でしょう。
点検の内容や方法は,平成16年消防庁告示第9号に記載されています。
機器点検は半年に一度,総合点検は1年に一度という内容は聞いたことがあるかもしれませんが,これは消防庁告示に基づくものです。
火災報知器やスプリンクラーが正常に作動するかどうか,避難ハシゴが適正に使用できるかどうか,といった点検を行うことになります。
そして,その対象には専有部分も含まれますので,専有部分に立ち入っての消防点検が必要になるということになります。
具体的な点検方法については,消防庁の告示等で定められており,点検要領に詳細が説明されています。
消防庁のホームページに詳しくまとめられたページがありますのでご参考にしてください(https://www.fdma.go.jp/mission/prevention/post-1.htmlhttps://www)。
当然,何年も専有部分の消防設備の点検が受けられないと火災が発生した場合に適切に作動しない可能性があり,マンション全体にとって不利益となります。
そのため,区分所有者が専有部分への立入りを拒否した場合でも,管理規約上,理事長による立入りを認める条項が用意されているのが一般的です。
どうしても立入りを認めない場合には,規約に基づく立入りを検討することになります。
クレーマー住民が立入りを拒否した場合の具体的な対応については,改めて説明します。
クレーマー住民への対応には,管理組合,理事会の方のご苦労も多いと思います。
お困りの理事長,理事,管理会社の方は当職にお気軽にご相談ください。
投稿者 記事URL
|2021年5月12日 水曜日
法律相談のコツ(上手な法律相談利用法)
皆さん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今日は皆様に法律相談を上手に利用してもらうためのコツをお知らせしたいと思います。
弁護士は,誰でも法律相談には誠心誠意対応したいと思っていますし,限られた時間の中で最大限のお答えをしたいと心がけています。
とはいえ,法律相談を上手に利用するコツがあり,知っていると知らないとでは,どうしても法律相談で得られるアドバイスにも差が出てしまいますので,これからお話しいたします。
まず,最低限,行ってほしいこととして,(可能な範囲で)相談に関係する資料をお持ちください。
例えば,離婚や相続の問題でしたら,戸籍謄本は用意していただきたいです。漏水問題なら漏水箇所の写真や図面などです。
交通事故であれば事故証明書,事故現場の写真や地図,被害に遭った車両の写真などになります。
また,長期間のやり取りがある場合には,簡単な時系列表をご用意いただくと相談がスムーズに進みます。
登場人物が多い時には,関係者一覧表や家系図などを用意していただくと理解が進みます。
一方,法律相談時の対応としては,過度に感情的にならないことが大切です。
もちろん,浮気した夫との離婚相談や重い後遺障害を負った交通事故の相談で,感情が出ないということはあり得ません。
そのことは弁護士もよく分かっていますし,否定するわけでもありません。
反面,過去の出来事を整理して説明する作業が法律相談では不可欠ですが,あまりに感情が先行してしまうと「過去の出来事を整理し説明する」ことが難しくなってしまいます。
私も,なるべくご相談者の方の言わんとすることを汲み取りたいと努めていますが,話が四分五裂して分からないという経験があります。
ご相談者ご自身のためにも,法律相談に際しては,順序だてて説明できるよう,可能な範囲で構いませんので,落ち着いてお話しいただければありがたいのです。
法律相談のコツは以上ですが,最後にもっとも大切な法律相談のコツをお知らせいたします。
それは「法律相談の予約を入れて実際に来ていただくこと」です。
これは当たり前のことのように見えて,実は一番難しいことです。
現在でも弁護士の敷居は高いと思われていますし,費用も高いと思われています。
そのため,長い間悩まれながら,法律相談を受けることは考えなかったという方が非常に多いのです。
ですが,実際には法律相談料は高額ではありませんし,弁護士はみな丁寧に対応しようと心がけていて,決して敷居の高い場所ではありません。
「悩みごとの専門家に相談する」ことは,解決に直結しなかったとしても,それ自体,心理的なストレスを大きく減らすことができます。
ですので,どうか,お気軽にご相談の連絡やメールをしていただければとおもうのです。
お悩みをお持ちの方はぜひ検討してみてください。
投稿者 記事URL
|2020年6月22日 月曜日
分譲マンションに関係する法律
皆さん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマは,分譲マンションに関係する法律のご紹介です。なお、正式名称は長いため、略称での紹介となります。
分譲マンションには,共用部分,専有部分などがあり,特殊な権利関係が発生します。
そのため,分譲マンションのあり方に合わせたルール作りが必要となります。
その一番基本的な法律が,区分所有法です。一般的な民事関係の基本法は民法ですが,そのルールの一部を分譲マンションに合わせて修正したものが区分所有法です。したがって,区分所有法は民法の特別法という言い方もされます。
次いで,マンション管理適正化法という法律があります。この法律は、マンションにおける良好な住環境の確保等を目的としたもので、マンション管理士の資格や義務などについて定め、また、マンションの管理業者についても規定しています。
近時は建築から一定の年数が経過したマンションが増えていることから、マンションの建替えの促進を図る目的で、マンション建替え円滑化法という法律も制定されています。
最後に、法律ではありませんが、国土交通省が作成していて、皆様にもなじみがあるものとして、標準管理規約が挙げられます。標準管理規約は、いわば各マンションの管理規約のひな形であり、多くのマンションが概ね標準管理規約を参考にして規約を作成されているものと思います。
このように、マンションに関係する法律等は多数存在しますので、管理組合、理事会の皆様は、よくご覧いただき、マンションの管理に活用していただくことが大切と考えます。
もし、理解の難しいところがありましたら、ご遠慮なく弁護士桑田までお問い合わせください。
投稿者 記事URL
|2014年6月16日 月曜日
訴訟費用とは?
皆さん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマは訴訟費用についてです。
裁判を起こすときには,通常,「いくらいくら支払え」という請求の最後に「訴訟費用は被告の負担とする」ことを求めます。
一方,被告の方は反論の中で『訴訟費用は原告の負担とする」ことを求めます。
最終的には判決の中で訴訟費用の負担についても記載されます。敗訴する側が訴訟費用を負担することになります。
割合的に示されることもあります。訴訟費用は,これを8分し,その5を被告の,その余を原告の負担とする」というような場合です。
原則として原告の言い分が通っているものの被告の主張にも理があるので,原告の全面勝訴とは言えないという場合です。
「訴訟費用」には,どのようなものが含まれるのでしょうか。
訴訟を提起するには手数料相当額の印紙を貼付することが必要ですが,その印紙額などが訴訟費用に当たります。
また,書類を送るための郵便切手代や証人尋問をした場合に証人に支払う日当も訴訟費用に該当します。
よくある質問として,弁護士費用が訴訟費用に含まれるのかという問い合わせがありますが,弁護士費用は含まれません。
では,たとえば「訴訟費用は被告の負担とする」という判決が下された場合,原告はどのようにして被告に請求するのでしょうか。
実は,単に判決に記載されただけでは強制執行することは出来ません。
その訴訟とは別に,訴訟費用額確定処分の申立をする必要があります。第1審の裁判所の書記官に対して,訴訟費用額確定処分申立書と訴訟費用計算書を提出することになります。その後,相手方の意見も聞いた上で訴訟費用額確定処分が出されます。
訴訟額確定処分が出されると,相手方に対して強制執行することが出来ます。
もっとも,実際には金額がそれほど高額でなかったり回収可能性の低い相手であったりすることから,訴訟費用額確定処分の申立を行わないことも多いのです。
投稿者 記事URL
|