弁護士桑田の活動日誌
2012年7月9日 月曜日
別居中の夫婦間の子の引き渡し
こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマは,「別居中の夫婦の一方が子供と同居している場合に,他方が子の引き渡しを求められるか」についてです。
少子化の昨今,両親の子への関心は高まり,子を巡る紛争も増加傾向にあるようですので,今回のテーマとしました。
子供の引き取りを求める親がとりうる手段は,「子の引き渡しを求める調停」「子の引き渡しを求める審判」「人身保護請求の申立」が考えられます。
ですが「子の引き渡しの調停」は,あくまで話し合いですので,両親が協議できる状態であることが前提であり,感情的に対立が厳しい場合には不適当でしょう。また,「人身保護請求の申立」は「拘束者が幼児を監護することが子の幸福に反することが明白であること」という極めて厳しい要件が課せられています。
そこで,「子の引き渡しを求める審判」によることが多く見受けられます。別居中の夫婦の場合,監護権がなければ子の引き渡しは認められませんので,「子の監護者の指定を求める審判」と「子の引き渡しを求める審判」をあわせて行います。また,子の引き渡しは迅速に行う必要がありますので,「審判前の仮処分の申立」も同時に行うのが通常です。
そして,審判前の仮処分とその後の審判の結論が異なると,子供が父母間を行ったり来たりしてこの福祉に反するので,実際には,仮処分と言いながら,最終的な判断を要します。申立から数日で審問し調査官調査も行い,子の引き渡しを命じる審判の場合には審判まで1ヶ月を目途としているようです(ただし,事案によって調査等に数ヶ月かかることはあります)。
子の監護者の判断基準については,概ね以下の各項目が挙げられています。
継続性(現状の尊重)・母性優先(乳幼児の場合)・子の意思の尊重(10歳くらいから)・他方の親と子の面接交渉を許容していること・奪取行為は違法(実力行使は認めない)・監護能力,精神的経済的家庭環境・兄弟は分離しない,などです。
家庭裁判所は以上の基準をもとに,個々の事例について,誰が子の監護者としてふさわしいか,ひいては子の引き渡しを認めるかどうかを判断しているのです。
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