弁護士桑田の活動日誌
2012年7月30日 月曜日
交通事故の被害者がすぐに保険金を受け取るには?
みなさん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマは,交通事故の被害者が早期に保険金を受け取る方法です。
保険金は,すぐに受け取れるとは限りません。加害者が責任を否定したり,損害額を争うと長期間支払を受けられないこともあります。
そこで,自賠法17条は,人身事故の被害者が仮渡金を請求できる規定をおいています。
仮渡金支払請求書に「事故の発生」と「政令に定められた人身損害」を証明する資料を揃えて請求すれば比較的短期間に支払われます。
もっとも,後日,損害額が確定した場合,支払額から仮渡金がひかれますし,確定した損害額より仮渡金が多ければ差額の返還を求められます。
また,死亡の場合で290万円,傷害の重さによって40万円,20万円,5万円となっています。
このように高額ではありませんが,緊急の場合ですから万が一交通事故に遭われた場合には,ご利用をご検討されると良いと思います。
その他,交通事故のご相談は以下をご覧下さい。
弁護士特約の利用については
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/07/post-19-301786.html
後遺障害の等級認定については
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/07/post-24-309253.html
示談あっせんする機関については
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/09/post-32-342968.html
交通事故の保険と労災保険,健康保険の関係については
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/08/post-30-320861.html
交通事故と時効の関係については
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/06/post-14-294651.html
その他の交通事故全般のご相談については
http://www.kuwata-lawoffice.net/jiko/
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|2012年7月30日 月曜日
マンション管理組合総会の招集通知の出し方
みなさん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今日は,管理組合総会の招集手続についてです。
区分所有法35条1項には,総会開催日の少なくとも1週間前に招集通知を発することとされています。
もっとも,規約で伸縮できるとされ,標準管理規約では「2週間前までに通知を発しなければならない」としています。
招集通知は相手方については,区分所有法35条3,4項で以下のように定めています。
①区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知したときはその場所に宛ててすれば足りる(その場所に通知しなければならないわけではありません。②も同じです)
②上記の通知をしなかったときは,区分所有者の所有する専有部分の所在する場所に宛ててすれば足りる
③建物内の区分所有者または通知を受けるべき場所を通知しない区分所有者に対しては,規約に特別の定めがあれば,建物内の見やすい場所に掲示して通知することができる
さらに,区分所有法の規定の解釈から,以下の④⑤の方法も認められる一方,⑥の制約はあります。
④区分所有者が通知を受ける場所を通知した場合でも,区分所有者が当該専有部分に現に居住しているときは現に居住している場所に宛てて通知することができる
⑤区分所有者が通知を受ける場所を通知しなかった場合でも,区分所有者が現に居住するマンション外の場所が判明しているときには,現に居住する場所に宛てて通知することができる
⑥掲示による方法をとる場合でも,建物内に住所がなく,通知場所を管理者に通知した区分所有者に対しては,その場所に宛てて個別に通知をしなければならない
具体的な通知の手段としては,郵送や電話によることも可能ですが,通知文書を各区分所有者の郵便受けに入れることも許されています。
招集通知には会議の議題を示す必要はありますが,共用部分の変更や規約の設定・変更・廃止,建てかけ決議などの重要な決議事項は,さらに予めその内容を知り検討を経た上で総会に出席してもらうため,議案の要領を通知することも求められています。もっとも,全ての議題について議案の要領は記載されていることが多いのではないでしょうか。
以上のように,招集通知の出し方一つでも細かな決まりがあることを,理事長等は理解しておく必要があるのでご注意下さい。
その他,マンションのトラブルは以下をご覧下さい。
マンション内の騒音問題は
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/05/post-7-272598.html
マンション内のペットトラブルについては
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/09/post-37-348244.html
マンション内での誹謗中傷については
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/09/post-1-342591.html
管理組合の理事長を解任する方法については
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/07/post-25-310679.html
マンションの構造などに欠陥がある場合の損害賠償は
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/07/post-1-307678.html
マンショントラブル全般は
http://www.kuwata-lawoffice.net/manshon/
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|2012年7月24日 火曜日
相続と遺言執行者
みなさん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマは「遺言執行者の仕事」についてです。
遺言執行者と聞いて,ぴんと来る方は少ないでしょう。
ですが,とても大切な制度ですので,今回説明したいと思います。
遺言は作るだけでは意味がなく,実際に遺言作成者がお亡くなりになったときに,遺言の通りに遺産を配分することが大切です。
そこで,遺言の内容を実現するための事務処理を行う者が遺言執行者になります。
もし遺言が「全財産を○○に相続させる」というだけでしたら,遺言執行者は必要ないかも知れませんが,複数の相続人がいて,それぞれに不動産や預貯金を分け与えるような場合には,遺言執行者がいると手続がスムーズに進みます。
このように複雑な遺言の場合,大抵,遺言の中で「本遺言の執行者として次の者を指定する」として,遺言執行者を定めています。
具体的な遺言執行者の事務処理は以下のようになります。
まず,相続が発生して遺言に執行者に就任したら,各相続人に遺言執行事務通知書を通知して,遺言執行者の存在を知らせます。そして,現存する遺産を調査して,財産目録を作成します。
その上で,預貯金の払い戻しのための手続や不動産,株式などの名義変更のための手続をするなど,具体的な権利移転行為を行うわけです(不動産の場合,「相続させる」とあれば,相続人が単独で申請できます)。
このような遺言執行者の事務処理は専門知識が必要な場合もありますので,複雑あるいは高額な遺産について遺言を残すときには弁護士などの専門家を遺言執行者に指定すると手続が円滑に進みますので,ぜひお気軽にご相談下さい。
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|2012年7月18日 水曜日
定年後の継続雇用
みなさん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマは,「定年後の継続雇用 基準は」です。
これは平成24年7月16日付日経新聞朝刊の法務記事のタイトルです。
年金支給開始年齢の引き上げに伴い,定年後に年金がもらえない空白時期が生じるとの懸念から高年齢者雇用安定法が制定されました。
高年齢者安定法は,「定年の引き上げ」「継続雇用制度の導入」「定年制の廃止」のいずれかを企業に選ぶよう義務づけています。定年の引き上げや定年制の廃止では,原則として希望者全員の雇用を継続しなければならず会社の負担が重いため,大半の企業が継続雇用制度を導入しています。継続雇用制度の中の再雇用制度による場合,いったん雇用関係を終了するので雇用条件を引き下げやすいこと,再雇用の選定基準を定め基準に満たない労働者の再雇用を拒否できるという企業側のメリットが大きいのです。
ですが,上記の記事によると,最近,継続雇用されなかった労働者が企業を訴える例が相次いでいるようです。これは,そもそも再雇用の選定基準が妥当か,当該労働者が基準に満たさないという判断が妥当か,基準そのものを決めた手続が妥当か,など選定基準を巡る争いが絶えないからです。しかも,まだ地裁レベルの判決がほとんどで学説を含め統一的な議論がまだ行われておらず,裁判所の判断もまちまちなようです。
実は,私も継続雇用を拒否された労働者の代理人として企業相手に交渉し,再雇用を確保した経験があります。その労働者の方は多少身体が不自由でしたが,再雇用を拒否されるような障害ではありません。企業側の経営不振や他社との合併などの影響で,再雇用者をなるべく減らしたいという意図が見え隠れしていました。
企業側は,再雇用の是非を巡る裁判が頻発している現状を見据え,妥当な選定基準を作成することはもちろん,基準についての労使協定の締結という手続の遵守,実際の再雇用時に公正な選定を行うなど,裁判に至らないよう十分に配慮する必要があります。
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|2012年7月18日 水曜日
マンション管理組合の理事長の解任
みなさん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマは,「独断専行する理事長を解任する方法」についてです。
私が法律相談を受ける際にも,非常に良くある相談の一つです。ということは,本来,適正に業務を執行すべき理事長が独断専行してしまうケースが残念ながら少なくないのです。
では,具体的には,どのようにすれば理事長を解任することができるでしょうか。
区分所有法25条1項は,総会決議により管理者を解任できると規定し,2項は「管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるとき」各区分所有者が裁判所に解任請求できると規定しています。
通常,「理事長を管理者とする」との規約がありますので,25条1項2項の適用あるいは準用により理事長を解任することになります。
総会決議による場合,区分所有者の5分の1以上かつ議決権の5分の1以上の合意で「理事長の解任」を目的とする臨時総会の招集を理事長に求めることになります。
ですが,通常,そのような求めに理事長が応じるとは考えられませんので,さらにその区分所有者自ら総会を招集して理事長の解任を決議することになります(区分所有法34条3項4項)。
もっとも,多数派が理事長に同調して,解任決議を否決される場合やそもそも5分の1以上の合意も得られない場合もあります。そのような場合でも,不正な行為等があれば裁判所に解任請求をすることができます。裁判は長期間を要するので,理事長の職務執行を一時停止して職務代行者の選任を求める仮処分を行うこともできます。
このような方法がありますが,裁判では決着に時間を要し費用負担も発生すること,裁判では不正な行為等の要件が必要であることなどから,可能であれば1項により総会決議で解任することが望ましいでしょう。
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|2012年7月17日 火曜日
交通事故の後遺障害等級認定の手続
皆さん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマは「交通事故で後遺障害を負った場合,誰が等級認定を請求するか」です。
後遺障害とは,「これ以上治療を継続しても症状の改善が望めない状態になったときに残存する障害」を指します。
自賠法では後遺障害を1級から14級(1級が一番重い)に分けており,等級が重いほど賠償額も高額になります。
ですから,被害者が自分の被害に応じた適切な等級を認定してもらいたいと思うのは当然です。
では,具体的には誰が等級認定を請求するのでしょうか。
以下の理由で,任意保険会社が認定を求めることが一般的です。
すなわち,もともと任意保険は,自賠責保険では支払いきれない損害額を上乗せして支払うものです。ですが,被害者が自賠責保険と任意保険の双方に請求するのは二度手間なので,任意保険会社が一括して支払うサービスを行っています。これを一括払い制度と言います。そして一括払いするには,後遺障害を負っているか,後遺障害何級なのかを知る必要があります。ですので任意保険会社が事前に後遺障害の有無などを確認します。これを事前認定と言います。
事前認定の場合,被害者による書類作成が不要なため便利な反面,任意保険会社は営利企業ですから賠償金の支払額を抑えたいため,積極的に後遺障害認定のための作業をしてくれるわけではありません。
そこで,被害者が直接損害賠償を請求する被害者請求という制度があります。被害者自身が手続を行うわずらわしさはありますが,被害者が積極的に後遺障害等級認定に関与できる利点は大きいです。
とはいえ,専門家ではない被害者自身で手続を行うことには限度があります。どうすれば適正な後遺障害認定が得られるかについては,後遺障害診断書の記載方法や意見書の書き方,レントゲン写真などの証拠の揃え方など,様々な専門的対応が求められますので,弁護士にご相談いただければと思います。
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|2012年7月13日 金曜日
マンションの欠陥が判明した場合の対処方法
こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマは,「自分の購入したマンションに欠陥があった場合に,売主に対して買主がどのような請求をできるか」ということです。欠陥としては,たとえば,地盤工事の不良やコンクリートの強度が不足していた場合などです。
このような場合の対処としては,民法上の瑕疵(かし)担保責任,品確法(住宅等の品質確保の促進等に関する法律),アフターサービスなどを活用することが考えられます。
民法上の瑕疵担保責任(民法570条,566条)では,マンションの欠陥が判明した場合,その欠陥が重大で容易には修繕できないような場合には売買の目的不到達として契約を解除できます。容易かつ低廉な費用で修理できる程度の場合には買主は修理費用の損害賠償を請求することもできます。売主に過失がなくても解除や損害賠償を請求できますが,反面,修理するよう請求することはできません。また,民法上は「買主が欠陥の存在を知ってから1年」または「引き渡しの時から10年」までは請求権が消滅しませんが,実際の契約では請求期間を短縮でき「引き渡し時から2年間」に期間制限されていることが多いというデメリットがあります。
品確法は,上記の期間制限による消費者の不利益を回避するため,新築住宅の基本構造部分(構造耐力上主要な部分,雨水の侵入を防止する部分)について瑕疵担保の期間を10年として,期間を短縮する特約は無効とされています。ただし,平成12年4月1日以降に売買契約や請負契約が締結された場合に限り適用されます。なお,いくら瑕疵担保責任を義務化しても売主に資力がないと意味がありません。このことは耐震強度偽装問題で顕在化しました。その反省を受けて,住宅瑕疵担保履行法(特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律)が制定され,新築住宅の売主たる宅建業者などは,保険の加入か法務局への保証金供託のいずれかを選択するよう義務化されました。もっとも,平成21年10月1日以降に引き渡す新築住宅がその対象となりますので,ご注意下さい。
アフターサービスは,売主が自主的に設けたサービスです。補修を無償で行うのが一般的ですが,各社によって内容が異なりますので,サービス内容を確認することが必要です。
このようにマンションの欠陥が判明した場合の対処方法は複数ありますが,それぞれ要件が異なりますし,一長一短あるところです。実際には「本当に欠陥があるのか」も含めて慎重な対応が必要となります。そのようなトラブルにつきましては,まずはお気軽に当職の無料相談をご利用下さい。
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|2012年7月11日 水曜日
マンションの滞納管理費と先取特権
こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマは,分譲マンション最大のテーマの一つ,滞納管理費の回収方法についてです。
全てを網羅して記載すると何ページあっても足りませんので,今回は先取特権についてお話しします。
先取特権と書いて「さきどりとっけん」と読みます。あまり耳慣れない用語かと思いますが,どのような権利でしょうか。
先取特権とは,一定の債権を有する債権者が,債務者の財産から,他の債権者よりも優先して債権の弁済を受けられる権利です。
区分所有法は滞納管理費を含めた共用部分の管理のための費用について先取特権を認めています(第7条)。区分所有関係において,共同の管理のための費用に関する債権は一般の債権以上に強い保護が必要と考えられたからです。
区分所有法7条の先取特権は,債務者(滞納者)の区分所有権と専有部分に備え付けた動産に及びます。ですから,専有部分や動産について担保権の実行として競売申立を行うことが可能です。
ただし,申立書の他,管理規約や滞納管理費の計算書などの添付書類が必要ですし,東京地裁執行センターでは,区分所有法7条に基づく競売についてはある程度厳格に疎明資料を確認するので,事前準備が大切です。また,競合する抵当権との関係では抵当権が優先するのが通常ですので,オーバーローン物件については管理費の回収が困難であることにも注意下さい。
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|2012年7月9日 月曜日
別居中の夫婦間の子の引き渡し
こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマは,「別居中の夫婦の一方が子供と同居している場合に,他方が子の引き渡しを求められるか」についてです。
少子化の昨今,両親の子への関心は高まり,子を巡る紛争も増加傾向にあるようですので,今回のテーマとしました。
子供の引き取りを求める親がとりうる手段は,「子の引き渡しを求める調停」「子の引き渡しを求める審判」「人身保護請求の申立」が考えられます。
ですが「子の引き渡しの調停」は,あくまで話し合いですので,両親が協議できる状態であることが前提であり,感情的に対立が厳しい場合には不適当でしょう。また,「人身保護請求の申立」は「拘束者が幼児を監護することが子の幸福に反することが明白であること」という極めて厳しい要件が課せられています。
そこで,「子の引き渡しを求める審判」によることが多く見受けられます。別居中の夫婦の場合,監護権がなければ子の引き渡しは認められませんので,「子の監護者の指定を求める審判」と「子の引き渡しを求める審判」をあわせて行います。また,子の引き渡しは迅速に行う必要がありますので,「審判前の仮処分の申立」も同時に行うのが通常です。
そして,審判前の仮処分とその後の審判の結論が異なると,子供が父母間を行ったり来たりしてこの福祉に反するので,実際には,仮処分と言いながら,最終的な判断を要します。申立から数日で審問し調査官調査も行い,子の引き渡しを命じる審判の場合には審判まで1ヶ月を目途としているようです(ただし,事案によって調査等に数ヶ月かかることはあります)。
子の監護者の判断基準については,概ね以下の各項目が挙げられています。
継続性(現状の尊重)・母性優先(乳幼児の場合)・子の意思の尊重(10歳くらいから)・他方の親と子の面接交渉を許容していること・奪取行為は違法(実力行使は認めない)・監護能力,精神的経済的家庭環境・兄弟は分離しない,などです。
家庭裁判所は以上の基準をもとに,個々の事例について,誰が子の監護者としてふさわしいか,ひいては子の引き渡しを認めるかどうかを判断しているのです。
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|2012年7月5日 木曜日
失敗の本質
こんにちは,桑田です。
今回のテーマは最近読みました本についてです。
プロフィールの趣味の欄に「読書 年間100冊近く読破しています」と大見得を切ってしまいました(^_^;)
というわけで,今回は趣向を変えてみましたので,お気軽にお読み下さい。
「失敗の本質」は,第2次世界大戦における日本軍の失敗の「本質」をつきとめようとした古典の名著です。昭和59年に発行された研究書ですが,最近,エッセンスを記載した「超入門『失敗の本質』」が売れ行き好調となり,再度,脚光を浴びています。
「失敗の本質」の中で,日本軍敗戦の原因分析がなされています。
たとえば日本軍内に「戦略が・・・多分に情緒や空気が支配する傾向」という情緒的人間関係が気づかれたこと,「情報,諜報の活用という点では,米軍に比べ決定的に劣っていた」という情報の軽視,「失敗した戦法,戦術,戦略を分析し,その改善策を探求し,それを組織の他の部分へも伝播していくということは驚くほど実行されなかった」という学習の軽視などが挙げられています。
そして,「日本軍の組織原理を無批判に導入した現代日本の組織一般が・・・危機が生じたときは,大東亜戦争で日本軍が露呈した組織的欠陥を再び表面化させないという保証はない」とも書かれています。
昨年,東日本大震災,原発事故という「危機」が生じました。
昨日の原発事故調査委員会の報告書では「明らかに人災」と指摘され,その理由として,規制当局と東京電力の立場が逆転し,
地震・津波対策を立てる機会が過去何度もあったのに先送りしてきたと指摘されています。まさに,情緒的な人間関係や学習の軽視と言われても仕方がないのではないでしょうか。
自戒の意味も込めて,とても考えさせられた一冊でした。
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