弁護士桑田の活動日誌
2012年7月13日 金曜日
マンションの欠陥が判明した場合の対処方法
こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマは,「自分の購入したマンションに欠陥があった場合に,売主に対して買主がどのような請求をできるか」ということです。欠陥としては,たとえば,地盤工事の不良やコンクリートの強度が不足していた場合などです。
このような場合の対処としては,民法上の瑕疵(かし)担保責任,品確法(住宅等の品質確保の促進等に関する法律),アフターサービスなどを活用することが考えられます。
民法上の瑕疵担保責任(民法570条,566条)では,マンションの欠陥が判明した場合,その欠陥が重大で容易には修繕できないような場合には売買の目的不到達として契約を解除できます。容易かつ低廉な費用で修理できる程度の場合には買主は修理費用の損害賠償を請求することもできます。売主に過失がなくても解除や損害賠償を請求できますが,反面,修理するよう請求することはできません。また,民法上は「買主が欠陥の存在を知ってから1年」または「引き渡しの時から10年」までは請求権が消滅しませんが,実際の契約では請求期間を短縮でき「引き渡し時から2年間」に期間制限されていることが多いというデメリットがあります。
品確法は,上記の期間制限による消費者の不利益を回避するため,新築住宅の基本構造部分(構造耐力上主要な部分,雨水の侵入を防止する部分)について瑕疵担保の期間を10年として,期間を短縮する特約は無効とされています。ただし,平成12年4月1日以降に売買契約や請負契約が締結された場合に限り適用されます。なお,いくら瑕疵担保責任を義務化しても売主に資力がないと意味がありません。このことは耐震強度偽装問題で顕在化しました。その反省を受けて,住宅瑕疵担保履行法(特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律)が制定され,新築住宅の売主たる宅建業者などは,保険の加入か法務局への保証金供託のいずれかを選択するよう義務化されました。もっとも,平成21年10月1日以降に引き渡す新築住宅がその対象となりますので,ご注意下さい。
アフターサービスは,売主が自主的に設けたサービスです。補修を無償で行うのが一般的ですが,各社によって内容が異なりますので,サービス内容を確認することが必要です。
このようにマンションの欠陥が判明した場合の対処方法は複数ありますが,それぞれ要件が異なりますし,一長一短あるところです。実際には「本当に欠陥があるのか」も含めて慎重な対応が必要となります。そのようなトラブルにつきましては,まずはお気軽に当職の無料相談をご利用下さい。
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