弁護士桑田の活動日誌
2012年9月21日 金曜日
老人ホームの入居一時金の返還
みなさん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマは,「老人ホームの入居時に多額の一時金を支払った場合,退去あるいは死亡時に返してもらえるか」です。
老人ホームの入居一時金(入居申込金,入居保証金などの名称の場合もあります)は,一般に数百万円から数千万円と大変高額な場合が多い反面,高齢者ゆえに入居後短期間で死亡したり,病院への入院のため退去せざるを得ない場合が多々見られます。
そのような場合には,入居金を返してもらいたいと考えることも当然ですが,実際に返還請求することは可能なのでしょうか。
入居一時金については,多くの老人ホームの入居契約では,まず初期償却(2~3割程度が多いようです),その後,一定の期間(5年とか7年など)で償却する制度を設けているのが一般的です。ところが,中にはごく短期間で退去した場合でも全く返金されないケースなども見受けられてトラブルが発生したため,平成18年の厚生労働省の指導指針で90日間以内の解約については利用料や現状回復費用等を除いた全額が返還されるルールが設けられました。さらに,老人福祉法の改正により,平成24年4月以降の入居については老人福祉法規則に従った前払い金の返還が法定され,法的な効力が付与されました。
なお,平成24年4月以前に入居された方の場合で,90日ルールなども入居契約書に記載されていない場合でも,入居金が返還される可能性はあります。契約の解除に伴い消費者が不当な金銭的負担を強いられないことを目的とする消費者契約法第9条や,消費者の利益を一方的に害する条項を無効とすることを定めた消費者契約法第10条の違反に該当する場合もあり得るからです。
これらの条項に該当するかどうかは,法的判断を必要とします。また,高齢の入居者の中には,老人ホームとの返還交渉をご自身で行うことに心理的負担や不安を覚えられる方もおられると思います。そのような場合にはお気軽にご連絡下さい。
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