弁護士桑田の活動日誌
2012年10月2日 火曜日
賃料を滞納するテナントを退去させる方法
みなさん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマは,ビルテナントなどが賃料を支払わない場合に,どのようにして退去を求めるか,ということです。
経済事情が悪化をたどる昨今,入居者が賃料を何ヶ月も滞納することが大変増えています。
ですから,ビルや投資用マンションのオーナーさんにとって興味関心の強い事柄でしょう。
賃料を滞納した入居者の中には,「後もう少し待ってくれれば,お金が入るので,かならずまとめて払う」と支払い猶予を求める方がいます。そのような場合には具体的に「いつ,どのような理由で,いくら入金されるのか」を確認することが必要でしょう。私の経験からすると,数ヶ月賃料を払えない入居者に急に一定の金額の入金があるというのは極めて稀で,容易に信用することはできません。そこで,よほど信頼できる入金の事情がない限り,賃料未払を理由とする契約解除と退去の方法を検討することになります。
退去させる一番良い方法は,実は話し合いによる賃貸借契約の合意解約と任意の退去です。建物明渡請求訴訟等の法的手段よりも早期に解決できますし,退去自体も強制的ではなくスムーズに進めることができます。そのためには,たとえば退去まで一定期間の猶予を与えるとか,賃料の一部を免除することも考えて良いでしょう。早期に退去してもらい,新しい入居者から毎月確実に入金を受ける方が,オーナーのメリットは大きいです。
一方,賃借人が全く連絡がつかない(連絡しても出てくれない)とか,反抗的な態度が鮮明であるような場合には,いたずらに時間を掛けず,建物明渡請求訴訟を提起することが必要です。ただし,2ヶ月程度の賃料の延滞では契約解除が認められない可能性がありますので,ご注意下さい。
建物明渡請求訴訟をする際には,仮執行宣言も忘れずに求めて下さい。仮執行宣言は,判決確定前であってもその判決に基づいて、仮に強制執行をすることができる制度なので,たとえば第1審で勝訴して仮執行宣言が付けられた場合,賃借人が時間稼ぎのために控訴をしてきても,明渡の強制執行が可能になります。「仮の強制執行」といっても,実際に建物退去を強制されます。これを回避するには賃借人側は強制執行停止決定の申立をすることになりますが,その前提として賃料の1年分前後の担保金を積むことが求められます(事情によって担保金額には幅があります)。何ヶ月も賃料を滞納していた賃借人が1年の賃料に相当する担保金を積むことはほとんど不可能ですから,仮執行宣言による建物明渡は,オーナー側からすると大変強力な武器になるわけです。
このように,種々の手段がありますが,どのような手段で退去を求めるのが適当か判断がつきにくいこともあると思います。そのような場合には,お気軽にご相談下さい。
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