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弁護士桑田の活動日誌

2013年3月12日 火曜日

マンション住宅部分の目的外利用の可否

皆さん,こんにちは,弁護士の桑田です。
 今回のテーマは,「管理規約で住居以外の使用が禁止されている場合の目的外使用について」です。
 マンションの中には,管理規約で「本来の住居以外の目的に使用することを禁止する」との条項を設ける例がよくあります。
これは,店舗や事務所などで利用されると不特定多数の外部者が出入りし良好な住環境や安全を確保できないと考えるからです。

 ところが,実際には,住戸を会社の事務所や店舗などに利用する事例が見受けられます。そのため,管理組合が管理規約違反として区分所有法57条により使用禁止請求を行います。この請求が認められるかは「区分所有者の共同の利益に反する行為」に該当するかがポイントになります。この点については後記のように複数の裁判例が出ていますが,単に目的外使用をして管理規約に反するだけでなく,行為の性質や程度からみて受忍限度を超えるかを総合的に判断する裁判例が多いようです。

 この点の裁判例は以下のようなものがあります。病院の看護師等の幼児のための保育室として使用することが許されないとした事例(横浜地裁平成6年9月9日),カイロプラクティック治療院として使用することが「区分所有者全員の共同の利益」に反するとしつつ管理組合の請求は権利濫用として否定した事例(東京地裁平成17年6月23日),無認可託児所として使用することが許されないとした事例(東京地裁平成18年3月30日),税理士事務所として使用することが許されないとした事例(東京高裁平成23年11月24日)などです。

 これらの裁判例から見る目的外使用の禁止の可否の判断要素はおおよそ以下の通りと考えられます。
 ①目的外使用による被害の程度(騒音の有無や程度,近隣住戸からの苦情の有無,不特定多数の外部者の利用の有無)
 ②従前の管理組合の態度(他の目的外使用者にも使用禁止を徹底していたか等)

 このように,①目的外使用の程度が甚だしく受忍限度を超えていれば目的外使用の禁止が認められる方向になります。
 一方,仮に目的外使用をしていたとしても,他にも店舗利用や事務所として利用している区分所有者が多数いる中で②管理組合が特に規約違反を主張していないのに,一部の区分所有者だけ使用禁止を求める場合は権利濫用として否定される場合もあります。

 もっとも,目的外使用の程度の判断などはなかなか難しいと思いますので,お気軽にご相談下さい。

  その他のマンショントラブルは以下のページをご覧下さい。
 マンション内の騒音問題は
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/05/post-7-272598.html
  マンション内の水漏れ事故については
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/08/post-31-328055.html
 マンション内での誹謗中傷については
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/09/post-1-342591.html
 管理組合の理事長を解任する方法については
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/07/post-25-310679.html
 マンションの構造などに欠陥がある場合の損害賠償は
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/07/post-1-307678.html 
 マンショントラブル全般は
http://www.kuwata-lawoffice.net/manshon/

 

投稿者 弁護士 桑田 英隆

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