弁護士桑田の活動日誌
2017年3月2日 木曜日
更新後の保証人の責任
こんにちは,弁護士の桑田です。
今日のテーマは「賃貸借契約が更新された場合,当初の契約時の保証人が更新後も保証債務を負うか」についてです。
このようなことが問題になる背景には,以下のような事情があります。
まず,最初の契約時には,賃貸人側も直接連絡を取って意思確認をしたり,実印の押印と印鑑証明を求めることが多いでしょう。
ですが,更新時には意思確認を行わず,保証人欄の署名押印も賃借人を介して行われる実務上の例が多いのではないでしょうか。そのため,更新時には保証人に連絡せず,賃借人自身や第三者に署名押印させてしまう場合もあるでしょう。そして,自ら署名押印していない保証人が「そのような書面は知らない」として,保証債務の履行を拒否することがあるのです。
ですが,判例上では「反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情のない限り・・・更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを免れない」とされています(最高裁平成9年11月13日判決)。この判決の事案も,更新時の契約書の連帯保証人欄には「前回と同じ」と記載されているのみで,保証人による署名押印はされていませんでしたが,保証人が債務を負うことを認めているのです。
したがって,原則として,更新後の賃貸借契約でも,保証人が責任を負うことになります。
もっとも,「特段の事情」があれば保証債務を免れるため,どのような事情が「特段の事情」に該当するかが問題となります。更新後は保証債務を負わない旨が明記されている場合や,更新時に保証人との間で保証契約を解除する合意をしていた場合などが考えられると思います。
そして,保証人に上記のような言い訳をさせるだけでも,賃貸人としては,煩わしいことになります。
そこで,このような言い訳をされないためにも,更新時にも保証意思を確認し,保証人本人から実印での署名押印を得ておくことが安全だと考えます。
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