弁護士桑田の活動日誌
2017年3月9日 木曜日
管理費の不平等は有効か(一部の所有者が高い場合)
こんにちは,弁護士の桑田です。
本日のテーマは,区分所有者間で,管理費や修繕積立金の金額が平等でないことが許されるか,についてです。
このような場合として,一部の区分所有者の管理費等が高い場合と低い場合という二つのケースが考えられます。今回の対象は,一部の区分所有者の管理費等が高い場合についてです。このような場合としては,住宅店舗複合用途型マンションにおいて,住宅よりも店舗の管理費の方が単位床面積当たりの負担金額が高い事案などが挙げられます。
区分所有法第19条では,各区分所有者は,規約に別段の定めない限り,持分に応じて共用部分の負担に任じるとされています。そして,同法第14条では,各区分所有者の持分は,専有部分の床面積の割合によるとされています。したがって,専有部分の床面積に比例しつつ,単位床面積当たりの負担は平等であるのが原則です。
ですが,上記第19条によれば,規約に別段の定めがある場合には別の扱いが可能です。もっとも,無制限に不平等な扱いができる訳ではありません。「管理費等の負担額に差異を設ける総会決議等は,共用部分の使用頻度,程度等に通常の区分所有者と質的に異なる点があり,持分を算定の基準にすることが不合理であるとか,多額の管理費等を負担する該当者の承諾を得ているなど特段の事情のない限り」無効とした裁判例もあります(東京地裁平成14年10月29日判決)。
したがって,このような質的な違いや該当者の承諾があるときには単位床面積当たりの負担が平等でない扱いも可能になります。
管理組合の理事会の皆様の中には,一部の区分所有者から「自分の管理費が他の人より高い」との不満が持ち込まれることもあると思います。
逆に,区分所有者の皆様の中にも,自分の管理費が不当に高いのではないかと疑問に持つこともあると思います。
ですが,どちらにしても,質的に異なる点があるかどうか,判断に困ることは多いのではないでしょうか。
そのようなときには,お気軽に私にご相談下さい。丁寧に検討したいと思います。
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