弁護士桑田の活動日誌
2017年3月9日 木曜日
管理費の不平等は有効か(一部の所有者が低い場合)
皆さん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマは,前回に引き続き,区分所有者間で管理費や修繕積立金の金額に不平等がある場合です。
その中でも,一部の区分所有者の管理費等が他の区分所有者より低い場合について検討します。
このような場合として,多々見られるのが,いわゆる等価交換方式の影響で,元の地主やその者からの譲受人のみ管理費が相当低く設定されている事例です。
等価交換方式というのは,地主が土地を提供する一方デベロッパーがマンションの建設費を負担し,建物の持分を出資比率に応じて分け合う方式です。
デベロッパーがマンションを建てたいがために,地主に有利な提案をする事情もあると思われます。
そして,管理組合が,このような不公平な管理費を是正しようとしたときに,元地主側が反発して,問題が顕在化するのです。
このような場合の裁判例としては,特定の区分所有者の管理費等が長期間合理的な理由もなく定額に定められた規約を変更して増額した決議について,区分所有法第30条第3項にいう区分所有者間の利害の衡平を図ったものと判断した例があります(東京地裁平成23年6月30日判決)。つまり,管理費等の是正が認められた例です。
一方,共用部分の管理費等の負担割合が区分所有者の共有持分と異なっていることについて合理的な理由があるとして公序良俗に反しないとした例もあります(東京地裁平成14年6月24日判決)。つまり,管理費が他の区分所有者より低くても良いとされた事例です。ですが,この裁判例は,マンションの敷地の一部を所有する区分所有者等について,他の区分所有者が使用料の支払いをしていなかったことから,その代わりに管理費等について一定の優遇を受けていたと認定されており,このような特別な事情があったことに注意を要します。
そこで,結果としては,やはり,相当合理性のある事情がない限り,一部の所有者のみ低い管理費等を享受することは難しいのではないかと考えられます。
管理組合の理事会の皆様の中には,一部の区分所有者が低い管理費が認められていることについて,対策を考えている組合もあるかと思います。
逆に,合理的な理由があって管理費が低額に設定されているのに,値上げを要請されている区分所有者の方もいると思います。
もっとも,どのような場合が合理的な区別に当たるのかの判断は一般の方には困難と思われます。
お困りのときには,ぜひ,私にご相談下さい。丁寧に検討したいと思います。
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