弁護士桑田の活動日誌
2018年2月22日 木曜日
理事長の解任を認める最高裁と管理規約への影響
皆さん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマは,理事による理事長の解任を認めた最高裁平成29年12月18日判決のご紹介です。
新聞等でも大きく取り扱われたので,ご存じの方も多いと思います。
この事件は,理事の過半数の賛成で理事長を解任して,単なる理事とすることができるかどうかが争われました。
私の感覚としては,そもそも理事長は,理事が互選する規約がある場合,選任する権限がある者が解任する権限があるのは当然と思っていましたので,
このような争いが最高裁に持ち込まれたことも驚きでした。
ですが,原審である福岡高裁は,「規約には選任の定めはあるが,これは解任についての定めではない」「役員の解任は総会の議決事項とされている」との理由で,理事の過半数で理事長を解任することは許されないと判断していました。
一方,最高裁は,理事の互選で理事長を選任できる定めがあることについて「このような定めは,理事の過半数の一致により理事長の職を解き,別の理事を理事長に定めることも総会で選任された理事に委ねる趣旨と解するのが,区分所有者の合理的意思に合致する」として,理事の過半数の一致により理事長を解任することができるとしました。
最高裁の結論はとても常識的で,納得がいくものです。もっとも,福岡高裁のような判断がなされたことも事実です。
ですから,標準管理規約の記載だけでも理事による理事長の解任は認められるでしょうが,より慎重を期して「理事の互選により選任し,又はその過半数により解任することができる」などと規定することも有用と考えます。
現在,管理規約の改正をご検討の理事会の皆様にはこの点にもご留意下さい。
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