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弁護士桑田の活動日誌

2020年4月8日 水曜日

新型コロナとマンション定期総会の延期・中止

皆様,こんにちは,弁護士・マンション管理士の桑田です。
現在,新型コロナが世界中に蔓延し,新型肺炎などによって深刻な被害の発生が報じられています。
昨日には東京を中心に緊急事態宣言も出され,日本も看過できない状況に陥りつつあります。
管理組合の皆様,区分所有者の皆様には,くれぐれも体調に気を付け,ご自愛ください。

さて,今回のテーマは,このような新型コロナが発生した現状における定期総会の扱いについてです。
まず,そもそも現状において,総会を開催すべきなのでしょうか。
これは,各管理組合の判断によりますが,昨今の状況からして,総会を延期したいと考える理事長の方も多いと思います。

そうすると,このような定期総会の延期が区分所有法や管理規約との関係で許されるのかが,問題となります。

この点,法務省が「マンションの管理組合等における集会の開催について」というコメントを出しています。
このコメントによれば,法務省は,区分所有法が求めているのは毎年1回の集会であって,前年の集会から1年以内に集会を開くことは求めていないから,現在の新型コロナが落ち着いてから,今年中に集会を開けば足りるとしています。

ですが,これは,区分所有法との関係であって,管理規約との関係については触れられていません
標準管理規約では新会計年度開始以後2か月以内の総会の招集を求めています。
そのため,例えば,会計年度が3月末日で終わる組合の場合,5月末日までに開催しないと,通常は管理規約違反になります。
といっても,私も現在の新型コロナの状況で,5月末日までの開催が不可欠と考えているわけではありません。

この点も,実は,法務省が,マンションではなく会社についてですが「定時株主総会の開催について」というコメントを出しています。
このコメントには「定時株主総会の開催時期について定款に定めがあるとしても,通常,天災地変などで開催できない状況が生じたときまで開催を要求する趣旨ではない」旨を指摘しています。そして「新型コロナで開催できないときは,その状況が解消された後合理的な期間内に開催すれば足りる」旨の見解を示しています。

私の法務省の考え方と同様で,法や規約が不可能を強いる趣旨ではないと考えています。
そして,このことは,会社の定款もマンションの管理規約も同様ととらえて良いはずです。
したがって,新型コロナを理由にマンションの定期総会を延期すると判断した場合も,通常は管理規約違反にならないと考えます(なお,開催時期や場所によって当然に結論は異なります)。

管理組合の理事の皆様にはこれらのことを参考にして,定期総会を開催するかどうかをご検討ください。
なお,状況が落ち着いたのに一切開催をしないのはもちろん問題であり,延期は認められても完全な中止は認めにくいものと思われます。

定期総会を開催するかどうか判断に迷われる管理組合の皆様,総会を延期するにしても「どう組合員に説明するか」でお悩みの皆様,お気軽にご相談ください。

投稿者 弁護士 桑田 英隆

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