弁護士桑田の活動日誌
2021年2月26日 金曜日
死亡区分所有者の相続人が不明な場合の対応
皆さん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回は,分譲マンションの区分所有者の方が死亡した場合で相続人が不明なときに,管理組合がどのように対応するか,です。
前回ブログに書きました「区分所有者が行方不明になった場合」の相続人版ということになります。
区分所有者が死亡した場合には,まず,戸籍を調査するなどして,相続人を探索しますが,それでも相続人が存在しない場合はどうするのでしょうか。
区分所有者が行方不明になった場合には,不在者財産管理人の選任の申立てという方法が考えられることは前回記事にしたとおりです。
そして,区分所有者の相続人が不在の場合にも同様に,相続財産管理人選任の申立てを行うことが一つの方法です。
相続財産管理人に住戸の必要最低限の維持管理をしてもらったり,管理費等を支払ってもらうなどの対応です。
もっとも,一般の方には申立ての手続が煩雑であること,手続に数か月を要すること,数十万円程度の費用を用意しなければならないことなどの注意点があります。
また,区分所有者が行方不明になった場合と異なり,公示送達制度は,要件を満たしていないので利用することができません。
一方,管理費等の請求訴訟など裁判手続を行いたい場合には,特別代理人という制度を利用することができます。
特別代理人制度は,当事者に法定代理人がいないことによる訴訟の遅れを防止する制度で,相続人不明の相続財産にも準用されるという判例があります。
したがって,区分所有者が死亡して相続人も存在しないという場合には,相続財産管理人選任申立てや特別代理人制度を,その場面に応じて使い分けることが大切になります。
もっとも,具体的にどのようなケースにどのような法制度で対応するのか,一般の方には判断に迷うところもあるかと思います。
そのようなときには,当職にお気軽にご相談ください。
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