弁護士桑田の活動日誌
2021年5月6日 木曜日
クレーマー住民への具体的対処法(理事会傍聴篇)
皆さん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマも前回に引き続き,クレーマー住民への具体的な対処法についてです。
今回は,クレーマー住民から理事会を傍聴させるように要求されたときの対処法についてです。
まず,ごく一般論としては,組合員が理事会を傍聴することは決して否定されることではありません。
むしろ,平時であれば,管理組合の維持管理の方向性を知るために,理事会を傍聴することは望ましいとも言えます。
しかしながら,クレーマー住民からの理事会の傍聴を容易に認めることには,多くの弊害があります。
クレーマー住民は単に傍聴するだけでなく,勝手に発言を始めたり,理事を怒鳴るなど,議事進行を著しく阻害することがあります。
また,前回記載しましたように,クレーマー住民は大量の意見書や要望書などを出してきますが,その意見書への対応を話し合う場に,提出者であるクレーマー住民がいては,自由闊達な議論ができるはずがありません。
まして,クレーマー住民が管理組合を訴えている事案の裁判対応では,もちろん,クレーマー住民がいては議論できません。
そもそも管理組合の役員の方々はクレーマーであることを分かっていますから,クレーマー住民に関する議題でなくても,傍聴されると委縮してしまい,自由な意見を言えなくなるおそれがあります。
このようなクレーマー住民による理事会の傍聴による弊害を回避するにはどのようにすればよいのでしょうか。
ここでも理事会の裁量によることが考えられます。理事会の傍聴を認めるかどうかは理事会の裁量の範囲内ですので,クレーマー住民の傍聴を拒否することになります。
もっとも,先ほどお話ししたように,一般論としては理事会の傍聴は否定されるものではありませんし,裁量も広いと言っても無限ではありません。
そこで,例えば理事会細則などの細則を設けて,その中で傍聴のルール化を行うことがお勧めできます。
例えば,事前の書面による申請という手続きを設けた上で,原則として傍聴を認めつつ,例外として「過去に理事会の議事を阻害した者」とか「理事会の議事を阻害する恐れのある者」といった傍聴拒否事由を設けることが考えられます。
もちろん,クレーマー住民は「俺は議事を阻害したりしない」といった反論をするでしょうが,理事会で,一定の合理的な理由に基づいて例外事由に該当すると判断して拒否すればのちに問題となることはありません。
とはいえ,実際に「理事会細則をどのように作成すればよいか」「傍聴を拒否してよい例外的な事由に当たるかどうか」の判断に迷うことは多々あると思います。
そのような場合には,私にお気軽にご相談ください。
過去の経験も踏まえてアドバイスできると思います。
なお,仮に傍聴を認めた場合でも,議長は発言を制止することができますし,繰り返し議事進行を阻害したときは退場を命じることも可能ですので,ご留意ください。
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