弁護士桑田の活動日誌
2021年5月10日 月曜日
交通事故の被害に遭った個人事業主の休業損害
皆さん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマは,個人事業主の方が交通事故の被害に遭った場合の休業損害の算定方法についてです。
交通事故の被害者が入院や自宅療養などで仕事を休まざるを得なくて,その分収入が減少した場合,加害者に対して休業損害を請求することができます。
自賠責保険の場合は1日原則5700円となりますが,弁護士が保険会社に請求するような場合には,1日の基礎収入に休業日数をかけて,算出します。
会社員のように毎月一定額の給与を取得している方の場合は計算は比較的簡単で事故前3か月間の給与を90日で割るなどして算出します。
計算のもととなる基礎収入は,給与明細書を会社から出してもらえれば計算できます。
では,個人事業主(自営業者)のように毎月一定額を取得しているわけではない方の場合,休業損害はどのようにして計算するのでしょうか。
個人事業主の場合には,確定申告の記載をベースに考えていくことになります。
具体的には,確定申告の事業所得を基本としますが,事業所得は,収入から様々な名目で控除がされていますので,休業損害の算定のためには一部の控除を戻すことが必要です。
まず,税金については最高裁で控除しない扱いとしていますので,所得税,住民税,事業税等を戻します。
また,休業期間中も発生する固定経費も賠償の対象となりますので,その分を戻します。減価償却費,地代家賃,保険料などです。
青色申告の場合には青色申告特別控除額も戻します。青色申告特別控除は課税のための特典であって必要経費ではないからです。
事業所得にこれらの戻りを合計した上で,365日で割って基礎収入を計算し,休業日数をかけて休業損害を算出します。
もっとも,これは原則的な計算であり,その他にも様々な要素を検討することが必要な場合があります。
もし,交通事故による損害額の計算方法にお困りでしたら,弁護士桑田までお気軽にご連絡ください。
丁寧にご対応させていただきます。
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