弁護士桑田の活動日誌
2021年5月11日 火曜日
特別決議を経ないで共用部分を変更できる場合
皆さん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマは,共用部分の変更の決議要件についてです。
原則として,分譲マンションの共用部分を変更するには,総会での特別決議が必要とされています。
特別決議というのは,区分所有者の4分の3以上の賛成があり,議決権総数の4分の3以上の賛成もある決議です。
共用部分の変更の重要性から厳格な要件を求めています。
もっとも,例外的に普通決議(その総会に出席した区分所有者の過半数)で行うことができる場合があります。
以前は区分所有法の規定では「改良を目的とし,かつ,著しく多額の費用を要しないもの」は普通決議で良いとされていました。
それが,2002年の法改正により「その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの」と,表現が変更されています。
これは,以下のような理由からです。
すなわち,大規模修繕が多額の費用を要するため,改正前の規定では特別決議が必要でした。
ですが,大規模修繕のような共用部分の適正な維持管理のための工事が特別決議を得ることができずに行えないとなると円滑な維持管理ができなくなるため,法改正されました。
では,2002年以前に建てられたマンションで,現在でも法改正前の表現が管理規約に残っているマンションの扱いはどうなるでしょうか。
この点,法務省は,その場合でも普通決議で足りるとしています。区分所有者が法改正後まで特別決議を求めていると理解することには無理があるという考えからです。
逆に,法改正を行った後に,例えば「大規模修繕には4分の3以上の特別多数決を必要」と規約を変更することは可能と考えているようです。
いずれにせよ,その他の規定も合わせて,古い管理規約をそのままにしておくことはトラブルのもとになります。
反社会的勢力の排除や民泊禁止,シェアハウス禁止など時代に合わせたその他の変更と同時に,規約を改正することをお勧めします。
とはいえ,管理組合理事会の皆様が管理規約をチェックすることは大変なことだと思います。そのようなときには弁護士桑田までお気軽にご相談ください。
これまでの規約改正の経験も活かしてアドバイスできるものと思います。
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