弁護士桑田の活動日誌
2021年10月12日 火曜日
マンション管理組合総会の招集通知の宛先
皆様,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマは,管理組合が総会を開催する際に組合員宛に送付する招集通知の宛先について,です。
招集通知の宛先については区分所有法35条に詳細な取り決めがあり,標準管理規約にも規定があります。
そして,区分所有法や管理規約に即した通知の出し方をしていないと,総会決議無効を争われる原因ともなりかねません。
そこで,招集通知の出し方について,まとめてみました。
まず,原則として,招集通知の宛先を組合員が届け出ている場合には,その届け出た宛先に通知することになります。
反面,宛先の届出がない組合員については,専有部分の所在地つまり各戸に通知すればよいという扱いです。
また,区分所有法では,そのマンション内に居住する組合員や宛先の届け出のない組合員に対しては,規約に定めがあれば,招集通知を掲示することで通知とする旨を定めています。
標準管理規約はこの規定を受けて招集通知の「内容を所定の掲示場所に掲示することをもって,これに代えることができる」としています。
したがって,例えば,通知先を届け出ていない組合員についてはその所有する各戸宛に通知することもできますし,掲示すれば通知に代えることもできます。
通知先を届け出ていた組合員に対しても,その組合員がマンション内で居住していれば掲示で足りると解されるかもしれませんが,組合員が指定している以上,指定する宛先に通知する方が望ましいと考えられます。
もちろん,組合員がマンション内に居住せず,かつ,通知場所を指定していた場合は,当然,その指定する宛先に通知することになります。
一方,通知先を届け出ていない組合員がマンションから転居していた場合,転居先が判明していれば現に居住する場所に宛てて通知することも可能です。
ただし,わざわざ調べて招集通知を出しても届かなかった場合に招集手続に瑕疵があるとした裁判例もありますので,そのような場合には各戸宛に通知する方が安全だと考えます。
なお,招集通知の方法ですが,書面,口頭,電話いずれでも良いとされており,書面による場合も各区分所有者の郵便受けに入れることも許されています。
もっとも「通知を受けた受けない」で争いにならないよう,通知は書面によるべきですし,議案の賛否が拮抗している場合や重大な議案の場合は郵便受けではなく配達証明等,到達の分かる郵送形式を採用すべきです。
このように招集通知の出し方は相当複雑ですし,招集通知の期間も厳密に規定されているため,一般の方には分かりにくいところだと思います。
そのような場合にはお気軽に弁護士桑田までご相談ください。
投稿者
最近のブログ記事
月別アーカイブ
- 2024年2月 (2)
- 2024年1月 (2)
- 2023年10月 (1)
- 2023年9月 (4)
- 2023年8月 (6)
- 2023年7月 (4)
- 2023年3月 (3)
- 2022年6月 (1)
- 2022年1月 (1)
- 2021年12月 (2)
- 2021年11月 (2)
- 2021年10月 (2)
- 2021年7月 (3)
- 2021年5月 (5)
- 2021年4月 (5)
- 2021年3月 (5)
- 2021年2月 (2)
- 2020年11月 (1)
- 2020年10月 (3)
- 2020年8月 (1)
- 2020年6月 (5)
- 2020年5月 (3)
- 2020年4月 (1)
- 2020年3月 (2)
- 2019年4月 (1)
- 2018年3月 (1)
- 2018年2月 (6)
- 2017年11月 (2)
- 2017年10月 (2)
- 2017年7月 (1)
- 2017年3月 (4)
- 2017年2月 (2)
- 2015年12月 (2)
- 2015年5月 (1)
- 2015年1月 (2)
- 2014年6月 (2)
- 2014年3月 (3)
- 2014年1月 (2)
- 2013年7月 (1)
- 2013年5月 (1)
- 2013年4月 (1)
- 2013年3月 (2)
- 2013年1月 (4)
- 2012年12月 (1)
- 2012年11月 (1)
- 2012年10月 (1)
- 2012年9月 (10)
- 2012年8月 (2)
- 2012年7月 (13)
- 2012年6月 (6)
- 2012年5月 (6)
- 2012年4月 (3)
- 2012年3月 (2)
- 2012年2月 (2)