弁護士桑田の活動日誌
2021年5月12日 水曜日
法律相談のコツ(上手な法律相談利用法)
皆さん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今日は皆様に法律相談を上手に利用してもらうためのコツをお知らせしたいと思います。
弁護士は,誰でも法律相談には誠心誠意対応したいと思っていますし,限られた時間の中で最大限のお答えをしたいと心がけています。
とはいえ,法律相談を上手に利用するコツがあり,知っていると知らないとでは,どうしても法律相談で得られるアドバイスにも差が出てしまいますので,これからお話しいたします。
まず,最低限,行ってほしいこととして,(可能な範囲で)相談に関係する資料をお持ちください。
例えば,離婚や相続の問題でしたら,戸籍謄本は用意していただきたいです。漏水問題なら漏水箇所の写真や図面などです。
交通事故であれば事故証明書,事故現場の写真や地図,被害に遭った車両の写真などになります。
また,長期間のやり取りがある場合には,簡単な時系列表をご用意いただくと相談がスムーズに進みます。
登場人物が多い時には,関係者一覧表や家系図などを用意していただくと理解が進みます。
一方,法律相談時の対応としては,過度に感情的にならないことが大切です。
もちろん,浮気した夫との離婚相談や重い後遺障害を負った交通事故の相談で,感情が出ないということはあり得ません。
そのことは弁護士もよく分かっていますし,否定するわけでもありません。
反面,過去の出来事を整理して説明する作業が法律相談では不可欠ですが,あまりに感情が先行してしまうと「過去の出来事を整理し説明する」ことが難しくなってしまいます。
私も,なるべくご相談者の方の言わんとすることを汲み取りたいと努めていますが,話が四分五裂して分からないという経験があります。
ご相談者ご自身のためにも,法律相談に際しては,順序だてて説明できるよう,可能な範囲で構いませんので,落ち着いてお話しいただければありがたいのです。
法律相談のコツは以上ですが,最後にもっとも大切な法律相談のコツをお知らせいたします。
それは「法律相談の予約を入れて実際に来ていただくこと」です。
これは当たり前のことのように見えて,実は一番難しいことです。
現在でも弁護士の敷居は高いと思われていますし,費用も高いと思われています。
そのため,長い間悩まれながら,法律相談を受けることは考えなかったという方が非常に多いのです。
ですが,実際には法律相談料は高額ではありませんし,弁護士はみな丁寧に対応しようと心がけていて,決して敷居の高い場所ではありません。
「悩みごとの専門家に相談する」ことは,解決に直結しなかったとしても,それ自体,心理的なストレスを大きく減らすことができます。
ですので,どうか,お気軽にご相談の連絡やメールをしていただければとおもうのです。
お悩みをお持ちの方はぜひ検討してみてください。
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|2021年5月11日 火曜日
クレーマー住民への具体的対処法(裁判対応篇)
皆さん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマも,先日に引き続き,クレーマー住民(トラブルメーカー)への具体的対処法です。
その中でも,裁判対応であり,特に今回は「管理組合又は理事が訴えられた場合」についてご説明します。
管理組合が組合員から訴えられるということは時々見られることです。
ですが,マンションでは一棟の建物に多くの住民の方が共同で生活しているわけですから,普通の組合員は管理組合を訴えることには相当な心理的抵抗があります。
管理組合としては訴えられれば,提訴されたことを他の組合員に知らせないわけにはいきませんので,周りの住民に知られてしまいます。
まして,管理組合への提訴は敗訴のリスクも一般的にはかなりみられるため「負けた場合」を考えると提訴を躊躇するのが自然です。
ですから,通常は,組合員の管理組合を訴えることには慎重になりますし,逆にあえて訴えるとなると,それなりに重要な権利制限などがあり,やむなく訴訟を起こすものです。
ところが,クレーマー住民はそうではありません。
管理組合に対する提訴についての心理的抵抗感が非常に低いという特徴があります。
何か不満があると何回でも管理組合を提訴しますし,自分が負けてもほとんど気にしません。
では,このようなクレーマー住民にはどのように対応すべきでしょうか。
これは,シンプルに,弁護士に依頼して淡々と裁判を進めていくに限ります。
管理組合がそれまで適切に対応してきているとすれば,クレーマー住民の提訴はかなり根拠に乏しく,管理組合からすると相当の確度で勝訴が予見できます。
もっとも,理事長自らが裁判対応をして裁判所でクレーマー住民と顔を合わせるのは適当でないでしょうし,裁判所近辺で待ち伏せなどされることも避けたいところです。
ですので,代理人対応として,あとは判決まで進めていけばよいのです。
とはいえ,半ば恫喝的な言動を繰り返すクレーマー住民への裁判対応には経験も必要です。
もし,クレーマー住民などに訴訟を起こされて悩まれているようでしたら,弁護士桑田までお気軽にご相談ください。
これまでのクレーマー住民からの裁判対応の経験を活かして,丁寧に対応させていただきます。
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|2021年5月11日 火曜日
特別決議を経ないで共用部分を変更できる場合
皆さん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマは,共用部分の変更の決議要件についてです。
原則として,分譲マンションの共用部分を変更するには,総会での特別決議が必要とされています。
特別決議というのは,区分所有者の4分の3以上の賛成があり,議決権総数の4分の3以上の賛成もある決議です。
共用部分の変更の重要性から厳格な要件を求めています。
もっとも,例外的に普通決議(その総会に出席した区分所有者の過半数)で行うことができる場合があります。
以前は区分所有法の規定では「改良を目的とし,かつ,著しく多額の費用を要しないもの」は普通決議で良いとされていました。
それが,2002年の法改正により「その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの」と,表現が変更されています。
これは,以下のような理由からです。
すなわち,大規模修繕が多額の費用を要するため,改正前の規定では特別決議が必要でした。
ですが,大規模修繕のような共用部分の適正な維持管理のための工事が特別決議を得ることができずに行えないとなると円滑な維持管理ができなくなるため,法改正されました。
では,2002年以前に建てられたマンションで,現在でも法改正前の表現が管理規約に残っているマンションの扱いはどうなるでしょうか。
この点,法務省は,その場合でも普通決議で足りるとしています。区分所有者が法改正後まで特別決議を求めていると理解することには無理があるという考えからです。
逆に,法改正を行った後に,例えば「大規模修繕には4分の3以上の特別多数決を必要」と規約を変更することは可能と考えているようです。
いずれにせよ,その他の規定も合わせて,古い管理規約をそのままにしておくことはトラブルのもとになります。
反社会的勢力の排除や民泊禁止,シェアハウス禁止など時代に合わせたその他の変更と同時に,規約を改正することをお勧めします。
とはいえ,管理組合理事会の皆様が管理規約をチェックすることは大変なことだと思います。そのようなときには弁護士桑田までお気軽にご相談ください。
これまでの規約改正の経験も活かしてアドバイスできるものと思います。
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|2021年5月10日 月曜日
交通事故の被害に遭った個人事業主の休業損害
皆さん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマは,個人事業主の方が交通事故の被害に遭った場合の休業損害の算定方法についてです。
交通事故の被害者が入院や自宅療養などで仕事を休まざるを得なくて,その分収入が減少した場合,加害者に対して休業損害を請求することができます。
自賠責保険の場合は1日原則5700円となりますが,弁護士が保険会社に請求するような場合には,1日の基礎収入に休業日数をかけて,算出します。
会社員のように毎月一定額の給与を取得している方の場合は計算は比較的簡単で事故前3か月間の給与を90日で割るなどして算出します。
計算のもととなる基礎収入は,給与明細書を会社から出してもらえれば計算できます。
では,個人事業主(自営業者)のように毎月一定額を取得しているわけではない方の場合,休業損害はどのようにして計算するのでしょうか。
個人事業主の場合には,確定申告の記載をベースに考えていくことになります。
具体的には,確定申告の事業所得を基本としますが,事業所得は,収入から様々な名目で控除がされていますので,休業損害の算定のためには一部の控除を戻すことが必要です。
まず,税金については最高裁で控除しない扱いとしていますので,所得税,住民税,事業税等を戻します。
また,休業期間中も発生する固定経費も賠償の対象となりますので,その分を戻します。減価償却費,地代家賃,保険料などです。
青色申告の場合には青色申告特別控除額も戻します。青色申告特別控除は課税のための特典であって必要経費ではないからです。
事業所得にこれらの戻りを合計した上で,365日で割って基礎収入を計算し,休業日数をかけて休業損害を算出します。
もっとも,これは原則的な計算であり,その他にも様々な要素を検討することが必要な場合があります。
もし,交通事故による損害額の計算方法にお困りでしたら,弁護士桑田までお気軽にご連絡ください。
丁寧にご対応させていただきます。
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|2021年5月6日 木曜日
クレーマー住民への具体的対処法(理事会傍聴篇)
皆さん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマも前回に引き続き,クレーマー住民への具体的な対処法についてです。
今回は,クレーマー住民から理事会を傍聴させるように要求されたときの対処法についてです。
まず,ごく一般論としては,組合員が理事会を傍聴することは決して否定されることではありません。
むしろ,平時であれば,管理組合の維持管理の方向性を知るために,理事会を傍聴することは望ましいとも言えます。
しかしながら,クレーマー住民からの理事会の傍聴を容易に認めることには,多くの弊害があります。
クレーマー住民は単に傍聴するだけでなく,勝手に発言を始めたり,理事を怒鳴るなど,議事進行を著しく阻害することがあります。
また,前回記載しましたように,クレーマー住民は大量の意見書や要望書などを出してきますが,その意見書への対応を話し合う場に,提出者であるクレーマー住民がいては,自由闊達な議論ができるはずがありません。
まして,クレーマー住民が管理組合を訴えている事案の裁判対応では,もちろん,クレーマー住民がいては議論できません。
そもそも管理組合の役員の方々はクレーマーであることを分かっていますから,クレーマー住民に関する議題でなくても,傍聴されると委縮してしまい,自由な意見を言えなくなるおそれがあります。
このようなクレーマー住民による理事会の傍聴による弊害を回避するにはどのようにすればよいのでしょうか。
ここでも理事会の裁量によることが考えられます。理事会の傍聴を認めるかどうかは理事会の裁量の範囲内ですので,クレーマー住民の傍聴を拒否することになります。
もっとも,先ほどお話ししたように,一般論としては理事会の傍聴は否定されるものではありませんし,裁量も広いと言っても無限ではありません。
そこで,例えば理事会細則などの細則を設けて,その中で傍聴のルール化を行うことがお勧めできます。
例えば,事前の書面による申請という手続きを設けた上で,原則として傍聴を認めつつ,例外として「過去に理事会の議事を阻害した者」とか「理事会の議事を阻害する恐れのある者」といった傍聴拒否事由を設けることが考えられます。
もちろん,クレーマー住民は「俺は議事を阻害したりしない」といった反論をするでしょうが,理事会で,一定の合理的な理由に基づいて例外事由に該当すると判断して拒否すればのちに問題となることはありません。
とはいえ,実際に「理事会細則をどのように作成すればよいか」「傍聴を拒否してよい例外的な事由に当たるかどうか」の判断に迷うことは多々あると思います。
そのような場合には,私にお気軽にご相談ください。
過去の経験も踏まえてアドバイスできると思います。
なお,仮に傍聴を認めた場合でも,議長は発言を制止することができますし,繰り返し議事進行を阻害したときは退場を命じることも可能ですので,ご留意ください。
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