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弁護士桑田の活動日誌

2012年9月5日 水曜日

日弁連交通事故相談センターと交通事故紛争処理センターの違い

みなさん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマは,「日弁連交通事故相談センター(日弁連センター)」と「交通事故紛争処理センター(紛争処理センター)」の違いについてです。いずれも,交通事故に遭遇した場合の相談先として有名ですが,どこがどう違うのか,一般の方にはよく分からないと思います。

そもそも,日弁連センターと紛争処理センターは全く別の機関です。
ですが,それぞれ交通事故の被害者からの相談を受け付けていますし,第三者が被害者と保険会社の間に入って,和解を試みる示談あっせん(和解あっせん)を行っているという共通点があります。また,費用が無料であること,賠償額には弁護士費用や遅延損害金は付加されないこと等も共通しています。
一方,日弁連センターは被害者の相談,示談あっせんを行っているのに対し,紛争処理センターの主目的は和解あっせん業務であり,相談も和解あっせんを前提とするもののみです。そのため,日弁連センターでは,相談に対応した弁護士が裁判や保険会社との交渉を直接受任可能であるのに対し,紛争処理センターでは弁護士の直接受任はできません。
また,日弁連センターの示談あっせんは被害者と保険会社の合意が必要であるのに対し,紛争処理センターでは和解あっせんが不調に終わった場合に審査が申し立てられ,審査結果について裁定が出されて被害者が同意した場合,保険会社側は裁定を尊重することとされており和解が成立することになるという違いがあります。

いずれの機関を利用するのかは一長一短ありますので,それぞれの案件によって使い分けることが肝要です。
その他の交通事故全般のご相談については
http://www.kuwata-lawoffice.net/jiko/
 交通事故の保険と労災保険,健康保険の関係については
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/08/post-30-320861.html
 後遺障害の等級認定については
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/07/post-24-309253.html
 弁護士特約の利用については
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/07/post-19-301786.html
 交通事故と時効の関係については
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/06/post-14-294651.html
 

投稿者 弁護士 桑田 英隆 | 記事URL

2012年9月5日 水曜日

マンション内でのビラ配りによる誹謗中傷

みなさん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマは,マンションの区分所有者が,管理組合の役員を誹謗中傷する文書を配布した場合の対処法です。
マンション内でこのようなビラ配りや各戸に配布するなどの行為は決して珍しいものではありません。
また,実際に役員が管理費を横領するなどしている場合に,その不正を正すために行ったのであれば違法とは言えません。

一方で,マンションの区分所有者の中には,単に感情的な理由から,何の根拠もない誹謗中傷を役員に対して加える例も少なくありません。このような場合には,誹謗中傷された被害者がそれぞれ差し止めや損害賠償請求をすることは当然可能です。
では,各被害者ではなく,加害者を除く区分所有者全体を主体として,そのような行為の差し止めを行うことができるのでしょうか。もし,可能であれば,いちいち各個人が請求しなくても,被害行為を一括して差し止めることができますし,その後,場合によっては,加害者による専有部分の使用を禁止したり,加害者の区分所有権を競売請求できるなどのメリットも出てくるのです。

区分所有者全体を主体として差し止めを行うには,特定の個人に対する誹謗中傷の域を超えて「建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為」(区分所有法6条)に該当することが必要になります。
近時の最高裁判例が,類似の案件について注目すべき判断をしています。すなわち「それが単なる特定の個人に対する誹謗中傷等の域を超えるもので,それによりマンションの正常な管理又は使用が阻害される場合には,区分所有法6条1項所定の区分所有者の共同の利益に反する行為に当たるとみる余地がある」と判示しました。

したがって,誹謗中傷する文書を配布した場合に区分所有者全体を主体として差し止めることができる場合があります。ただし,「共同の利益に反する行為に当たると『みる余地がある』」との表現ですので,常に認められるわけではないことに注意が必要です。

投稿者 弁護士 桑田 英隆 | 記事URL

2012年8月14日 火曜日

マンションでの水漏れ事故の責任

みなさん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマはマンション内で水漏れ事故です。水漏れの被害を受けた住人は誰に対して責任を追及できるのでしょうか。

このことを考えるには「水漏れの原因は何か」「どこで発生した水漏れか」を検討することが必要です。

水漏れの原因は,建築時の工事の欠陥,風呂や洗濯機の水栓の閉め忘れ,排水管の詰まりなどが考えられます。

発生場所で見ると,専有部分の水漏れは区分所有者あるいは賃借人に責任を問える可能性があります。一方,共用部分の水漏れは管理組合の責任が問題になります。なお,水漏れ箇所が共用部分,専有部分のどちらか分からない場合は,共用部分の不具合に原因があると推定されます(区分所有法9条)ので,反証できない限り管理組合の責任となります。

具体的に検討してみましょう。

まず,水漏れの原因がマンション建築当時の設備工事であれば分譲主への瑕疵担保責任の追及になります。
専有部分について人為的原因で水漏れが発生した場合には,水漏れを起こした区分所有者あるいは賃借人が責任を負うことになります。
共用部分について配水管の清掃が不十分などの理由で水漏れが発生した場合は管理組合が責任を負うことになります。

もっとも,「水漏れの原因が設備工事か設備の老朽化か」や「どこで水漏れしているか」の判断に迷うことは多いです。そのような場合には技術的な検査も必要となるでしょうから,お気軽にご相談下さい。

 その他のマンショントラブルは以下のページをご覧下さい。

 マンション内の騒音問題は
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/05/post-7-272598.html
  マンション内のペットトラブルについては
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/09/post-37-348244.html
 マンション内での誹謗中傷については
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/09/post-1-342591.html
 管理組合の理事長を解任する方法については
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/07/post-25-310679.html
 マンションの構造などに欠陥がある場合の損害賠償は
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/07/post-1-307678.html 
 マンショントラブル全般は
http://www.kuwata-lawoffice.net/manshon/

投稿者 弁護士 桑田 英隆 | 記事URL

2012年8月3日 金曜日

交通事故と健康保険,労災保険

みなさん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマは,「交通事故と健康保険,労災保険」です。

そもそも,交通事故の治療に健康保険は利用できるでしょうか。

医療機関の中には健康保険を使うことに消極的なところもあるようです。
ですが,交通事故でも健康保険を利用することはできますし,一般的には利用すべきでしょう。自由診療の単価は高額になりやすく,自賠責保険の保険金の大半が治療費に充てられてしまう場合が見受けられるからです。

では,健康保険と労災保険はどのように使い分けることになるのでしょうか。

一般的には「勤務中の交通事故には労災保険」「それ以外は健康保険」の対象となります。

また,「労災保険と自賠責保険のどちらを利用すれば良いか」という質問もよく受けます。

一般的には,自賠責保険を使うことが多いようです。労災保険では認められない慰謝料が認められること,休業損害も労災保険では60~80%しか補填されないのに対し100%補填されるからです。
もっとも,自賠責保険の傷害保険金は120万円が上限であるのに対し労災保険は上限がないこと,過失が大きくても労災保険は減額されないが自賠責保険では減額されてしまうなど,労災保険が有利な場合もあります。
交通事故の被害内容に合わせてケースバイケースで検討しなければいけないところなのです。
なお,自賠責保険を使わず労災保険を使用した場合,労災保険から自賠責保険に求償されることになります。そのため,治療費などで120万円全額求償されてしまうと,被害者は自賠責保険から傷害慰謝料の支払を受けられなくなることに注意が必要です。

その他,交通事故のご相談は以下をご覧下さい。

 弁護士特約の利用については
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/07/post-19-301786.html
 後遺障害の等級認定については
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/07/post-24-309253.html
  示談あっせんする機関については
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/09/post-32-342968.html
 交通事故の保険と労災保険,健康保険の関係については
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   交通事故と時効の関係については
http://www.kuwata-lawoffice.net/blog/2012/06/post-14-294651.html
 その他の交通事故全般のご相談については
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投稿者 弁護士 桑田 英隆 | 記事URL

2012年7月30日 月曜日

交通事故の被害者がすぐに保険金を受け取るには?

みなさん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマは,交通事故の被害者が早期に保険金を受け取る方法です。

保険金は,すぐに受け取れるとは限りません。加害者が責任を否定したり,損害額を争うと長期間支払を受けられないこともあります。

そこで,自賠法17条は,人身事故の被害者が仮渡金を請求できる規定をおいています。
仮渡金支払請求書に「事故の発生」と「政令に定められた人身損害」を証明する資料を揃えて請求すれば比較的短期間に支払われます。

もっとも,後日,損害額が確定した場合,支払額から仮渡金がひかれますし,確定した損害額より仮渡金が多ければ差額の返還を求められます。
また,死亡の場合で290万円,傷害の重さによって40万円,20万円,5万円となっています。
このように高額ではありませんが,緊急の場合ですから万が一交通事故に遭われた場合には,ご利用をご検討されると良いと思います。

その他,交通事故のご相談は以下をご覧下さい。

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2012年7月30日 月曜日

マンション管理組合総会の招集通知の出し方

みなさん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今日は,管理組合総会の招集手続についてです。

区分所有法35条1項には,総会開催日の少なくとも1週間前に招集通知を発することとされています。
もっとも,規約で伸縮できるとされ,標準管理規約では「2週間前までに通知を発しなければならない」としています。

招集通知は相手方については,区分所有法35条3,4項で以下のように定めています。
①区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知したときはその場所に宛ててすれば足りる(その場所に通知しなければならないわけではありません。②も同じです)
②上記の通知をしなかったときは,区分所有者の所有する専有部分の所在する場所に宛ててすれば足りる
③建物内の区分所有者または通知を受けるべき場所を通知しない区分所有者に対しては,規約に特別の定めがあれば,建物内の見やすい場所に掲示して通知することができる

さらに,区分所有法の規定の解釈から,以下の④⑤の方法も認められる一方,⑥の制約はあります。
④区分所有者が通知を受ける場所を通知した場合でも,区分所有者が当該専有部分に現に居住しているときは現に居住している場所に宛てて通知することができる
⑤区分所有者が通知を受ける場所を通知しなかった場合でも,区分所有者が現に居住するマンション外の場所が判明しているときには,現に居住する場所に宛てて通知することができる
⑥掲示による方法をとる場合でも,建物内に住所がなく,通知場所を管理者に通知した区分所有者に対しては,その場所に宛てて個別に通知をしなければならない
具体的な通知の手段としては,郵送や電話によることも可能ですが,通知文書を各区分所有者の郵便受けに入れることも許されています。

招集通知には会議の議題を示す必要はありますが,共用部分の変更や規約の設定・変更・廃止,建てかけ決議などの重要な決議事項は,さらに予めその内容を知り検討を経た上で総会に出席してもらうため,議案の要領を通知することも求められています。もっとも,全ての議題について議案の要領は記載されていることが多いのではないでしょうか。

以上のように,招集通知の出し方一つでも細かな決まりがあることを,理事長等は理解しておく必要があるのでご注意下さい。

その他,マンションのトラブルは以下をご覧下さい。

マンション内の騒音問題は
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  マンション内のペットトラブルについては
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 マンション内での誹謗中傷については
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 管理組合の理事長を解任する方法については
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 マンションの構造などに欠陥がある場合の損害賠償は
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 マンショントラブル全般は
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2012年7月24日 火曜日

相続と遺言執行者

みなさん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマは「遺言執行者の仕事」についてです。
遺言執行者と聞いて,ぴんと来る方は少ないでしょう。
ですが,とても大切な制度ですので,今回説明したいと思います。

遺言は作るだけでは意味がなく,実際に遺言作成者がお亡くなりになったときに,遺言の通りに遺産を配分することが大切です。
そこで,遺言の内容を実現するための事務処理を行う者が遺言執行者になります。
もし遺言が「全財産を○○に相続させる」というだけでしたら,遺言執行者は必要ないかも知れませんが,複数の相続人がいて,それぞれに不動産や預貯金を分け与えるような場合には,遺言執行者がいると手続がスムーズに進みます。
このように複雑な遺言の場合,大抵,遺言の中で「本遺言の執行者として次の者を指定する」として,遺言執行者を定めています。

具体的な遺言執行者の事務処理は以下のようになります。
まず,相続が発生して遺言に執行者に就任したら,各相続人に遺言執行事務通知書を通知して,遺言執行者の存在を知らせます。そして,現存する遺産を調査して,財産目録を作成します。
その上で,預貯金の払い戻しのための手続や不動産,株式などの名義変更のための手続をするなど,具体的な権利移転行為を行うわけです(不動産の場合,「相続させる」とあれば,相続人が単独で申請できます)。
このような遺言執行者の事務処理は専門知識が必要な場合もありますので,複雑あるいは高額な遺産について遺言を残すときには弁護士などの専門家を遺言執行者に指定すると手続が円滑に進みますので,ぜひお気軽にご相談下さい。

投稿者 弁護士 桑田 英隆 | 記事URL

2012年7月18日 水曜日

定年後の継続雇用

みなさん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマは,「定年後の継続雇用 基準は」です。
これは平成24年7月16日付日経新聞朝刊の法務記事のタイトルです。

年金支給開始年齢の引き上げに伴い,定年後に年金がもらえない空白時期が生じるとの懸念から高年齢者雇用安定法が制定されました。
高年齢者安定法は,「定年の引き上げ」「継続雇用制度の導入」「定年制の廃止」のいずれかを企業に選ぶよう義務づけています。定年の引き上げや定年制の廃止では,原則として希望者全員の雇用を継続しなければならず会社の負担が重いため,大半の企業が継続雇用制度を導入しています。継続雇用制度の中の再雇用制度による場合,いったん雇用関係を終了するので雇用条件を引き下げやすいこと,再雇用の選定基準を定め基準に満たない労働者の再雇用を拒否できるという企業側のメリットが大きいのです。

ですが,上記の記事によると,最近,継続雇用されなかった労働者が企業を訴える例が相次いでいるようです。これは,そもそも再雇用の選定基準が妥当か,当該労働者が基準に満たさないという判断が妥当か,基準そのものを決めた手続が妥当か,など選定基準を巡る争いが絶えないからです。しかも,まだ地裁レベルの判決がほとんどで学説を含め統一的な議論がまだ行われておらず,裁判所の判断もまちまちなようです。
実は,私も継続雇用を拒否された労働者の代理人として企業相手に交渉し,再雇用を確保した経験があります。その労働者の方は多少身体が不自由でしたが,再雇用を拒否されるような障害ではありません。企業側の経営不振や他社との合併などの影響で,再雇用者をなるべく減らしたいという意図が見え隠れしていました。

企業側は,再雇用の是非を巡る裁判が頻発している現状を見据え,妥当な選定基準を作成することはもちろん,基準についての労使協定の締結という手続の遵守,実際の再雇用時に公正な選定を行うなど,裁判に至らないよう十分に配慮する必要があります。

投稿者 弁護士 桑田 英隆 | 記事URL

2012年7月18日 水曜日

マンション管理組合の理事長の解任

みなさん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマは,「独断専行する理事長を解任する方法」についてです。
私が法律相談を受ける際にも,非常に良くある相談の一つです。ということは,本来,適正に業務を執行すべき理事長が独断専行してしまうケースが残念ながら少なくないのです。
では,具体的には,どのようにすれば理事長を解任することができるでしょうか。

区分所有法25条1項は,総会決議により管理者を解任できると規定し,2項は「管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるとき」各区分所有者が裁判所に解任請求できると規定しています。
通常,「理事長を管理者とする」との規約がありますので,25条1項2項の適用あるいは準用により理事長を解任することになります。

総会決議による場合,区分所有者の5分の1以上かつ議決権の5分の1以上の合意で「理事長の解任」を目的とする臨時総会の招集を理事長に求めることになります。
ですが,通常,そのような求めに理事長が応じるとは考えられませんので,さらにその区分所有者自ら総会を招集して理事長の解任を決議することになります(区分所有法34条3項4項)。
もっとも,多数派が理事長に同調して,解任決議を否決される場合やそもそも5分の1以上の合意も得られない場合もあります。そのような場合でも,不正な行為等があれば裁判所に解任請求をすることができます。裁判は長期間を要するので,理事長の職務執行を一時停止して職務代行者の選任を求める仮処分を行うこともできます。

このような方法がありますが,裁判では決着に時間を要し費用負担も発生すること,裁判では不正な行為等の要件が必要であることなどから,可能であれば1項により総会決議で解任することが望ましいでしょう。

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2012年7月17日 火曜日

交通事故の後遺障害等級認定の手続

皆さん,こんにちは,弁護士の桑田です。
今回のテーマは「交通事故で後遺障害を負った場合,誰が等級認定を請求するか」です。

後遺障害とは,「これ以上治療を継続しても症状の改善が望めない状態になったときに残存する障害」を指します。
自賠法では後遺障害を1級から14級(1級が一番重い)に分けており,等級が重いほど賠償額も高額になります。
ですから,被害者が自分の被害に応じた適切な等級を認定してもらいたいと思うのは当然です。
では,具体的には誰が等級認定を請求するのでしょうか。

以下の理由で,任意保険会社が認定を求めることが一般的です。
すなわち,もともと任意保険は,自賠責保険では支払いきれない損害額を上乗せして支払うものです。ですが,被害者が自賠責保険と任意保険の双方に請求するのは二度手間なので,任意保険会社が一括して支払うサービスを行っています。これを一括払い制度と言います。そして一括払いするには,後遺障害を負っているか,後遺障害何級なのかを知る必要があります。ですので任意保険会社が事前に後遺障害の有無などを確認します。これを事前認定と言います。
事前認定の場合,被害者による書類作成が不要なため便利な反面,任意保険会社は営利企業ですから賠償金の支払額を抑えたいため,積極的に後遺障害認定のための作業をしてくれるわけではありません。
そこで,被害者が直接損害賠償を請求する被害者請求という制度があります。被害者自身が手続を行うわずらわしさはありますが,被害者が積極的に後遺障害等級認定に関与できる利点は大きいです。
とはいえ,専門家ではない被害者自身で手続を行うことには限度があります。どうすれば適正な後遺障害認定が得られるかについては,後遺障害診断書の記載方法や意見書の書き方,レントゲン写真などの証拠の揃え方など,様々な専門的対応が求められますので,弁護士にご相談いただければと思います。

投稿者 弁護士 桑田 英隆 | 記事URL

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